エリカ・バドゥやジャイルズ・ピーターソンらのお墨付きを得た豪州産クァルテットによる2年ぶりの2作目。便宜上ネオ・ソウルや新世代ジャズとタグ付けできるものの、しなやかに跳ね回る紅一点ナイ・パームの歌声は、そんな括りなど我関せずとばかりに自由に飛翔していく。フライング・ロータスあたりと共鳴したような“By Fire”のコズミック感をはじめ、ビデオゲームの魅力を曲にしたという緩急めまぐるしい“Atari”、J・ディラ以降の訛るビートで泥臭いファンクとジャズを展開する“Swanp Thing”などなど、さまざまなアイデアとそれを実現させるバックの技巧も凄まじい。合間に聴かせる幻想的で幽玄なインスト小品たちもアルバムの極彩色ぶりを引き立てる全18曲。真にオリジナルなバンドだ。