ファレルとの繋がりを軸に振り返るスヌープの作品
ノー・リミットを離れた転機だけに変化を望む意識もあったか、いずれもシングルの“From Tha Cuuurch To Da Palace”と“Beautiful”でネプチューンズを起用。叔父犬チャーリーとファレルの歌う軽快な後者は全米6位という一大クロスオーヴァーを記録することに!
ネプチューンズが第1黄金期の集大成として発表したレーベル・ショウケース盤で、外部ゲストの一人としてスヌープも“It Blows My Mind”に招かれている。隙間の多い猫撫でファンクは翌年の特大ヒットに直結するものだ。
SNOOP DOGG R&G(Rhythm & Gangsta): The Masterpiece Doggystyle/StarTrak/Geffen(2004)
スタートラックのロゴが入ったネプチューンズの総監督作で、スヌープ初の全米No.1に輝いた“Drop It Like It's Hot”など5曲をネプが直接プロデュース。ファレルがふわふわメロウに絡む“Let's Get Blown”、チャーリーを招いた“Signs”や“Perfect”とメロディアスなヒットが次々に誕生した。
ネプチューンズ制作のスムースな“Say Somethin'”にてファレル&スヌープが声を合わせ、マライアが脱ぎまくるMVでもビシッと揃って色男ぶりを披露した。なお、スヌープ参加のネプ制作曲ではビーニー・シーゲル“Don't Stop”も同年の作品。
ファレルが相棒チャドの手を借りずに独力で作ったソロ作で、冒頭曲ではグウェン・ステファニーが登場。スヌープとチャーリーは先行シングルの粘着ファンク“That Girl”に客演している。
西海岸の団結をテーマにした作品の性質上、ネプの出番は激減するが、それでも先行シングルの“Vato”を任されているのは流石。ちなみにスヌープがスティーヴィー・ワンダーを初めて招聘した“Conversations”はここに収録。
DJクイック&テディ・ライリーと組んだ制作チーム=QDT主導で80年代モードに挑んだタイムのカヴァー“Cool”、現代ジャズ勢との絡みやハウシーなダンス・ヒットなど何気にイマっぽい一作。ファレルの制作は“Sets Up”のみだが、今作のボツ曲とされる“Feet Don't Fail Me Now”は“Peaches N Cream”の原型になった。
スヌープはここからプライオリティのボスとしてキャピトルに移籍。ネプチューンズ制作の“Special”はブランディとファレルがメロウに絡んでみせる70年代ソウル調の佳曲だ。
ついにファレルの名が消えた一枚。クラブ・ヌーヴォーやザップのネタ使いなど、西の基本に還った側面も見せつつ、カントリーからEDMまで嗅覚のままにいろいろ採り入れたような、好奇心丸出しのゴッタ煮アルバムだ。
海外のダブステップやEDMでの需要も増していたこの時期、ここではディプロの導きからレゲエに傾倒してライオン化。当然ファレルは不在だが、メジャー・レイザーが翌年出したEPでは彼も歌っていた。
KENDRICK LAMAR To Pimp A Butterfly Top Dawg/Aftermath/Interscope/ユニバーサル(2015)
スヌープが“Institutionalized”に客演、ファレルが“Alright”をサウンウェイヴと共同制作、とそれぞれ別曲ながらも旬な男としっかり顔合わせ。『Bush』にケンドリックが駆けつけたのも当然の流れだろう。