9月には〈東京JAZZ〉への初参戦も決まり、ホットな話題に事欠かないfox capture planから、今年2枚目のアルバムとなる『COVERMIND』がいよいよ到着。前号でも紹介した通り、90年代の洋楽ナンバーを取り上げた初のカヴァー・アルバムだ。今回はドラマーの井上司に、制作面でのポイントを中心に語ってもらった。
【アレンジについて】
僕らがカヴァーする曲はどれも原曲の持つインパクトが大きな有名曲なので、基本的には原曲へのリスペクトを持って、曲の軸は大きく変えずにカヴァーしています。
ここだけの話、今回のアルバムのほとんどの曲のアレンジ作業はレコーディング当日にその場で3人でセッションしながら録りました。結局、この3人で音を出せば、自然とfcpらしさに直結するので。当日っていうのはある意味無謀に感じましたが、今春に劇伴の担当をさせていただいたTVドラマ「ヤメゴク~ヤクザやめて頂きます~」の経験も活きて、いままでの自分たちの作品ではやらなそうなことも試したりして、楽しくスムースにレコーディングできました。特にカワイ(ヒデヒロ)君のベースは普通じゃ絶対やらないウッドベースの使い方とかやってますよ(笑)。
【新作の仕上がりについて】
基本的にはリーダーの岸本(亮)君を中心に選曲したんですが、コーン“Freak On A Leash”や、トゥール“Stinkfist”なんかのUSのオルタナ・へヴィー・ロックは、案外みんな意外に思うんじゃないでしょうか(笑)。『COVERMIND』というアルバム名の元になった作品からは選ばれてないんですけど(笑)。
今回再録した3曲(オアシス“Wonderwall”、マッシヴ・アタック“Teardrop”、ビョーク“Hyperballad”)は前とアレンジを変えてあるので、本当に聴き応えがあると思います。ちなみにその再録した3曲以外だと、アンダーワールド“Born Slippy”とコーン“Freak On A Leash”の2曲は、今春にリリースした『UNDERGROUND』のツアーからライヴでも演奏してるんです。原曲が有名というのもあってか、すぐ反応はありましたね。特に僕らと歳の近い、原曲をリアルタイムで聴いていた方に気に入ってもらえて嬉しかったのを覚えています。
あとは、いままでの僕らの作品でも第4のメンバーのように僕らの音に色付けをしてくれ、一緒に作品を作り上げてきたエンジニアの上原翔が、今回も力を発揮してくれて、本当に自信作になりました。
【今後の展望】
毎作続いた90年代もののカヴァーは今回で一区切りにはなるかもしれませんが、カヴァー自体は今後もやりたいとメンバーで話しています。それが今後はもっと新しい2000年代の曲なのか、はたまた時代を遡るのか、それはまだ未定です。何にしても、往年の名曲を次世代に伝承していく僕らなりのひとつの手段なので、また何かしらやりたいとは考えてますね。
それと、今年は年明け早々にアルバム3枚リリースを宣言したので、あと一枚を年内にリリース予定です。現時点ではどんな作品になるかはまだ言えませんが、今年の完結作ですし、いろいろな新しい案も出てて、正直僕らがいちばんワクワクしてるかもしれません(笑)。2016年のfcp結成5周年に向けて、来年の勢いにも繋げていけるような良い作品を届けられるようにがんばります!