メジャー進出の追い風に背中を押され、よりバンドとしての結束を固めた3人のストーリーは、まだ始まったばかりだ!

 プールイという強力なキャラクターの元BiSという経歴ゆえに、方向性の判然としなかったLUI FRONTiC 赤羽JAPANが、いよいよバンドとしての成長を見せはじめた。セカンド・シングル“ワンダーループ”はその重要な転換点となるだろう。メジャー・デビュー・シングル“リプミー”に続き、今回もメンバーのテンペスト竹内(ギター)が作曲を担当。〈あたりまえじゃん?〉と思うなかれ。インディー時代の彼らの作品はコンペ形式で決められてきたのだという。

 「メジャー・デビューしてから、メンバーが作る曲を優先してもらえるようになったんですよ。前は松隈(ケンタ)さんがいて、agehaspringsがプロデュースで、コンペで曲を選んでたんですけど、ユニバーサルの方が〈やっぱりメンバーが曲を書いたほうがいいよね〉と言ってくれたので」(プールイ、ヴォーカル)。

 「やる気が出ますね。紆余曲折あったうえで言えるんですけど、顔を見たことがない人が書いた曲よりも、僕が書いた曲のほうが絶対に良いんで。プールイが得意なものもわかって書いてるし、そこは自信を持って言えます」(テンペスト竹内)。

LUI FRONTiC 赤羽JAPAN ワンダーループ ユニバーサル(2015)

 ギター、ベース、ドラムが一丸となりトリッキーなリフを奏でるイントロから、疾走感もやる気も最高潮。キャッチーなロック・チューンでありつつ、16ビートを刻むダンサブルなリズム感覚は“リプミー”と共通だが、“ワンダーループ”はBPMの速さもギターのトンガリ具合も遙かに上だ。

 「ライヴをイメージして書いた曲で、一撃でカッコイイと思わせたかったんですよ。“リプミー”はバーンと広がってる感じで、今回はもっと狭く鋭角的なのかなと思います」(竹内)。

 「最初に聴いたときからほぼ完成形だったんで、ベースはラインに沿って弾きました。ただ、その代わりテクニック的に難しいのを入れようと思って、めっちゃ速いフレーズを1番と間奏に入れました。ドヤ顔で」(小原 just begun、ベース)。

 現代的な踊れるロックとして文句なしにハイクォリティーな演奏とプールイのキュートすぎる歌声の、アンバランスなバランスの良さ。そして〈終わりと始まり〉というテーマのもと、ここ1年の激動の日々のなかで感じたことをリアルに綴った、プールイの歌詞が本当に良い。

 「去年の7月8日のBiSの解散に宛てて書きました。BiSが終わって本格的にバンド活動が始まって、他のメンバーも新しい活動に移ってるし、テーマにピッタリだなと思ったので。“ワンダーループ”は造語で、〈終わりと始まりが永遠に続いていくのが人生だ〉というイメージで付けました。終わりはやっぱり寂しいし、引きずるけれど、新しいことが始まれば忘れられるし、それの繰り返しだと思うので」(プールイ)。

 カップリングの“騙されたいんだよ”もプールイと竹内のコンビによる作品で、ほかにもライヴで演奏しているオリジナル曲が着々と増加中。ブレイクをめざしてがんばる「いまがいちばん楽しい時かも」という竹内の言葉に、プールイと小原がうなずく。3人の目標地点は明確だ。

 「バンドとして迷走してた時間が長かったですけど、最近やっとライヴが楽しくなってきたので。〈アイドル上がりのバンドでしょ?〉って思う前に、一回観に来てほしい。来てくれたら楽しませる自信がめっちゃあります。一緒に成長していきましょう!」(プールイ)。

 

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ここではバンドと個々の過去作を紹介。2013年12月、BiSのリーダーとして活躍していたプールイが、その楽曲プロデュースを手掛ける松隈ケンタthe storefrontとして2009年にミニ・アルバム『the daily grind』(2 seam)を残す竹内&小原と結成したのが前身のLUI◇FRONTiC◆松隈JAPAN。2014年2月にはミニ・アルバム 『JAPONiCA!!』(つばさレコード)でデビュー、BiSが同年のベスト盤『うりゃおい!!!』(avex trax)と7月の横浜アリーナ公演を最後に解散すると活動を本格化していきます。8月には早くも2枚目のミニ・アルバム『JAPONiCA!!2』 (つばさレコード)を発表。その後、松隈の脱退を経て今年1月に現在の名前に改名し、3月の初シングル“リプミー”(ユニバーサル)で晴れてメ ジャー・デビューを果たしました! *bounce編集部