先人のネタ振り
――このように長きに渡ってお互いに切磋琢磨して、常に両バンドとも進化し続けていられるのは、一方でTHE COLLECTORSや怒髪天といった同じく長い間シーンの第一線で活躍されているヴェテランの存在も刺激になっていたりするのでしょうか?
グレート「そうだね、心強いよね。(THE COLLECTORSや怒髪天は)歳も上だから、僕らが40越えていま45歳になって、やっぱり疲れることが前よりも多くなってきたりするけど、〈あの人たちはあれだけやってるんだから〉と思うとまだまだだなって思う」
フラカンの竹安&小西にTHE COLLECTORSと怒髪天のメンバーが友情出演
――やはりメンバー全員が同じ方向を向いているというのも、もうひとつの理由かなと思いますが、バンド内がトゲトゲするような時なんてあるんですか?
鈴木「(スクービーの)楽屋とかも見てますけど、いがみ合ったりとか、ライヴ後に怒鳴り合ったりとか、そういうのは見たことないですよね」
グレート「例えばリーダーが他のメンバーにダメ出ししたりね」
鈴木「そういうのって(他のバンドでは)結構見るんですよ。ライヴ後だからみんなカーッと頭に血が上ってるし」
コヤマ「俺らもフラカンも、いわゆるワンマン・バンド的ではないから」
鈴木「今日は良くなかったな……とメンバーみんなが思ったとしても、それをあんまり口に出さない」
グレート「それはライヴを点で見てないからだよね。多く(ライヴを)やってればいい時もあれば悪い時もあるから」
鈴木「言わなくてもわかってる」
――バンドですけど、考え方は熟年夫婦みたいですよね。
鈴木「熟年だね、もう(笑)」
グレート「俺らなんて銀婚式(25年目)も過ぎてるからね」
コヤマ「フラカンは同じメンバーで25年ですもんね」
ナガイケ「それがすごいんだよな~」
グレート「スクービーはジョーが入ってから14年? 15年?」
ナガイケ「14年くらいですね、2001年(加入)なので」
コヤマ「それでもスゴイけどね、ヘヘヘ」
鈴木「そうだよ、一緒一緒」
コヤマ「フラカンもそうですけど、俺らはライヴをたくさんやるから、ライヴをやってる限りはバンドマンでいられる。それは俺たちが物凄く望んでいることじゃないですか、だから一度失敗したら次に挽回すればいいし、そこで解決すればいいんじゃないかと思うんです」
グレート「若い時はどうしても、ひとつひとつのライヴに対する思いが強すぎたり、自分に対しても〈今日はこんなに悪かった〉って思ったりするけど、しょうがない時もあると思わんとさ。気持ちの切り替えとかバランスの取り方は長くやってればそれぞれが上手くなるものだからね」
――この20年、特にここ数年の間に音楽の聴かれ方が大きく変わってきていますが、そういった変化をどのように捉えていますか?
グレート「いちばん大きく変わったのは、パッケージされたものなのか、配信なのか、聴き放題なのかと選択肢が広がっているということだと思うんだけど、スタジオで録音された音楽を買ってもらって儲けるというのは無理な時代がやってきたと思っていて。俺たちにとって印税とはボーナスくらいのものかもしれないけど、そこをこれから各々がどうするんだろうと……ね……暗い話になったな(苦笑)」
MOBY「基本的に両バンドともライヴに来たいっていうお客さんがいて、モノを持っていたいという方々が多いので、ライヴをやってそこでグッズなりCDなりを手に取ってもらえれば僕たちは本望。そういう方々を大事にしながら後のことは考えたいなと思っています」
グレート「だからライヴ一本一本が大事になってくるだろうなとは思います」
マツキ「CDが売れなくなったって言われていますけど、それは物凄く売れていた人が売れなくなっただけじゃないかと思うんです。自分たちのCD売上が激減してるという実感もないですし。ただ、少なくともいいものは作ろうと思ってるし、ライヴ映えしないからとか、ライヴの現場をそのまま音にしようというのも考えてなくて、とにかく良い音楽、それに加えてライヴでも楽しめるというのをスクービーとしては試行錯誤しながら作ってますね」
――先ほどの進化の話にも繋がりますが、いろんなリスナーが集まるフェスなどでのアピール度は、両バンドとも物凄く高いですよね。間違いなく誰が観ても楽しめるという。その充実度というか、ちょっと上から目線みたいで恐縮ですが、盤石の巧さをここ数年はいっそう感じています。
マツキ「フラカンと一緒に回らせてもらった1月のライヴで思ったのは、前よりも確実に動員が増えていると思いました」
グレート「うーん……ちょっとずつって感じだよね」
鈴木「いい具合に入れ替わるんだよね」
グレート「そうだね、でも入りがもうちょっと多いといいんだけどね。スクービーもそうだと思うけど。悪くはなく、ちょっとずつ増えている感じがここ10年くらい……」
マツキ「確かにそうですね」
竹安「入れ替わったと思っても、その来なくなった人が5年ぶりくらいに来てくれたりするよね」
グレート「世代的に結婚したり、仕事が忙しくなったりして来れなくなってしまう人もいるからね。そういうことは悪くないと思ってるけど」
マツキ「長くやっていればそうなりますよね」
グレート「うん、だからそこで一喜一憂しなくなったかな」
――そうやって入れ替わりと言っても新しく来るようになったお客さんが常にいるということは、本当に素晴らしいことですよね。一度ライヴを観ればそれも頷けますし。
グレート「そうだね」
鈴木「誰も出ていかなければめちゃめちゃ入ってるんだけどね(笑)」
――お客さんもそうですけど、フェスなどで若いバンドと共演する機会も多いですが……。
鈴木「人気あるバンドと共演すると羨ましいですよね、ワンオクとかね(笑)。声援の量がすごかったもんなー。スッゲーなと思って」
コヤマ「声援の量って(笑)。初めてフェスに行った人みたいな(笑)」
グレート「(演奏が)巧い人が多いよね」
竹安「でもギターの音がいいよねとか、スネアの抜けがいいなとか、そういう聴き方じゃないんだよな。分析できないというか」
グレート「わからんところもあるから、そこは正直オッサンになったなと思ったりする。同じ音楽だから違わないんだけど、(いまの若いバンドとは)やりはじめたきっかけや、聴いてきた音楽、出したい音が個人個人にしても、バンドとしても全然違うと感じることがある。同じロックをやっていたとしても。良い悪いではなくて」
鈴木「でも格好良いバンドは格好良いし、何とも思わないバンドは思わないし。それは昔もいまも変わらないから」
マツキ「やっぱり若い人もどんどんバンドをやってほしいし、増えて欲しいですね。どんどんロックを聴く人を増やしていかないと、俺らも活動の場がなくなっちゃうから。若い人たちも広げてやっていってほしいし、一緒に俺らもやりたいし。若いロック・バンドは大好きです」
コヤマ「ライヴも一緒にやってくれるバンドはだいたい仲良くなりますしね」
鈴木「嬉しいもんね、若いバンドに誘ってもらえると。〈俺らのこと知ってんの?〉って思う」
コヤマ「そうなりますよね。フラカン好きですって若いバンドもいっぱいいるし。俺らですら言われますもん」
グレート「昔聴いてました、とかね」
コヤマ「ライヴハウスで踊らせているようなバンドと対バンすると、影響を受けてきたものは違うとしてもそこでやろうとしていること、気持ちは同じだから、そこでムキになってやってる人たちはいいなと思う。若いバンドでも年上のバンドでも、ライヴハウスでムキになって〈今日いちばんスゲーことやるぞ〉と思ってやっている人とは仲良くなりますよね。だからフラカンもそういうところですごくシンパシーがある」
グレート「こないだ一緒にやった泉谷さんはライヴハウスではあんまりやってないかもしれないけど、音楽をガーッとやってるってことは変わりなくてさ、そういう人とできるというのはそれだけで思うところがあるというか、やって良かったなと思う」
――ちなみに、いま若手でシンパシーを感じるバンドはいますか?
マツキ「対バンするとよりいいなと思うことがすごく多くて、最近だと夜の本気ダンスとか、BRADIOあたりは凄くマジメで」
グレート「BRADIOの話はよく聞くね、評判がいい」
マツキ「人柄もすごくいいし。いいなと思うバンドは人柄もちゃんとしてる」
ナガイケ「キュウソネコカミとかもね。もっともっとという意識がある、それが売れてからもあるのがいいですよね。先輩もちゃんと立ててくれるし(笑)」
グレート「ジョーの口から〈先輩を立ててくれる〉っていう言葉が出るとは! 先輩なんだな」
ナガイケ「いつの間にか中堅です。ちなみに僕、フラカンのひと回り下なんですよ」
――ひと回り!
グレート「そうなんだよね~」
小西「俺らにとったらスクービーはいまでも知り合った時のまま〈若手〉なんだよね」
グレート「筋肉少女帯の大槻(ケンヂ)さんも、いまだに若手といったらフラカンとミッシェル(・ガン・エレファント)だって言ってる(笑)。〈ミッシェルもう解散しましたよ!〉って(笑)」
一同:ハハハハハハ(笑)。
グレート「90年代で止まってるんだよ(笑)。そういう人もいるからしょうがない」
――では、次はこれからの20年、25年はどのように活動していきたいかを聞かせてください。
グレート「ツアーで全国を回るというのはいつも通りで、それ自体は目新しくは映らないかもしれないけど、俺らはそのなかでも新しい何かを入れていきながらこれまでもやってるつもりだし、そうやっていかんとこっちもおもしろくなくなっちゃうだろうしさ。そうやりながら、例えば俺らの武道館※とかスクービーの野音みたいに、ところどころ攻めをさ、打ち上げ花火みたいなことをライヴだけじゃなくても入れていければと思う」
※12月19日(土)に東京・日本武道館にて〈フラワーカンパニーズワンマンライブ「フラカンの日本武道館 ~生きててよかった、そんな夜はココだ!~〉を開催
“消えぞこない”
マツキ「フラカン先輩が25周年を迎えて、26年目の今年、武道館公演をやりますから、スクービーとしてはそういうことも念頭に置きつつ、要所要所でマエカワさんが言ったような起爆剤を入れていかないといけないなと思います。あとはとにかく昨日よりカッコ良くというか、1曲でもより格好良い曲を作りたい、昨日よりいいライヴをやる、そういう気持ちでやっていきたいなと思っています――こんな感じで(笑)」
コヤマ「いまのはそんなに(ゴマ)すってなかったんじゃない(笑)?」
グレート「もうちょっとすっても良かったんじゃない?……って小西が言ってたよ(笑)」
小西「言ってないけど思ってたよ(笑)」
MOBY「まあ、怒髪天の武道館※から、1本のレールが出来ているので……」
※2014年1月に怒髪天が結成30周年記念として初の日本武道館ワンマン公演を開催
ナガイケ「ネタ振りがね(笑)」
MOBY「そこをちゃんと中継して後ろに繋いでいきたいですね」
――そういう目標があると全然モチヴェーションが違いますよね。
グレート「それはそうだよね」
鈴木「時には無理をしないと。ずっと無理してるとすぐ終わっちゃうから(笑)、たまに無理するくらいがいいの。そういう無理をいっぱいして燃え尽きちゃうシーンやバンドをこれまでいっぱい見てきたから。幸い、お互いにそういうシーンみたいなものに属してなかったので」
グレート「結果、良かったよね。いい活動だよ」
鈴木「長くやったもん勝ちってのもある。売れてる売れてないじゃない……年数だね(笑)」
マツキ「でもダラダラやってる20年、25年じゃないから。毎週末のようにライヴをやりながらの年月だから、それはそれでスゴイことだと思いますよ」
コヤマ「気が狂ってるパターンですよ」
グレート「そうだよな(笑)。それでメンバーの足並みが揃ってて良かったよ。一人でもまともな奴がいたらとっくに終わってるからね」
鈴木「奇跡だよ。そういう意味で、スクービーとはタイプが似ているところがあるなと思っていて。よく(コヤマと)2人で話してるのは、(自分たちは)ステージを降りたら急にオーラを消しちゃう。それが上手い。スーッと風景に溶け込む。常に全開の人もいるんだけど、俺らはそういうタイプじゃなくて、すぐに街並みに溶け込める。すぐに予備校生になれるもんな!」
コヤマ「予備校生って……流石に40越えてるんで(笑)。僕が圭介さんに思うのは、わざとじゃなくて本当に気が狂ってるんだなって。そこにシンパシーを感じられたのは嬉しかったですよね。20年やってきて、気が狂ってる組に入れて(笑)」
グレート「ハハハ(笑)。ヴォーカリストってやっぱおかしいな」
鈴木「それ言われて嬉しかったもん、少し頭のおかしい親戚のおじさんみたいって(笑)。楽屋でずっと喋ってるから、正月に(親戚の集まりなどで)ずっと喋ってるおじさんって1人2人いるじゃない。俺もその域に達したんだなと思って嬉しかった(笑)。でも俺たちは普段から狂ってるわけじゃないからね、ちゃんと電車にも乗るし」
グレート「電車にも乗るし(笑)」
鈴木「これだいぶ文字にしづらいね(笑)」(了)
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9月16日に新ミニ・アルバム『夢のおかわり』をリリース!
9月1日(火)には盟友・斉藤和義との〈フラワーカンパニーズ×斉藤和義~フラカン和義のロックンロール600万ボルト~〉を神奈川・川崎クラブチッタにて開催。さらに9月3日(木)には東京・新木場STUDIO COASTで行われる〈Spitz × VINTAGE ROCK std. presents 新木場サンセット2015〉へ出演します。そのほか最新情報はこちら。
そしてもちろん! 12月19日(土)に行われる初の日本武道館公演もお忘れなく!
※〈フラワーカンパニーズワンマンライブ「フラカンの日本武道館 ~生きててよかった、そんな夜はココだ!~〉詳細はこちら
☆SCOOBIE DOからのお知らせ☆

9月23日にインディー期からこれまでに洋邦問わず幅広く録音されたカヴァー曲や、未発表オリジナル音源を収録したスクービーの〈裏ベスト〉的な一枚『Extra Funk-a-lismo! -Covers&Rarities-』をリリース!
9月5日(土)に大阪・泉大津フェニックスで行われる〈OTODAMA '15 ~音泉魂~【闘魂編】〉などフェス出演もまだまだ続くほか、9月12日(土)に宮崎・SR BOX、13日(日)に鹿児島・SR HALLで日比谷野音公演の前哨戦となる〈野音への道〉を開催。そして、いよいよ10月4日(日)に東京・日比谷野外音楽堂で〈ダンスホール野音〉が行われますよ! そのほか最新情報はこちらへ。