インタビュー

まず自分を信じて突き進む―横山健がオーソドックスなR&Rからロカビリー、ブルースまで自身の〈いま〉盛り込んだ新作を語る

【PEOPLE TREE】横山健 Pt.4

SENTIMENTALISM CHANGE THE...
言葉も、音も、〈変化〉はすべて一直線上にある

 近年のように、〈ロック・シーンに対して〉〈震災を受けて〉というテーマを持たないところから始まった新作『Sentimental Trash』の制作は、横山健(ヴォーカル/ギター)がセミ・アコースティックやフル・アコースティック、俗に〈箱モノ〉と呼ばれるギターを手にしたところから始まっている。「有名なのはブライアン・セッツァーのグレッチだし、俺らみたいな歪んだ音のバンドには合わないと思われてるけど、使ってみたら意外と、いや、ホントに楽しくなっちゃって!」(横山、以下同)と笑う姿はギター小僧そのもの。とにかく手に入れた愛機に夢中になる日々が続いたという。

Ken Yokoyama Sentimental Trash PIZZA OF DEATH(2015)

「いままで聴き流していた古い音楽が改めて好きになって、自分でもやってみたくなったの。メロディック・パンクにこだわらないもの、いままで〈これはKen Bandでやらなくてもいいか〉と思っていたスリー・コードのロックンロールにもトライしたかった。でもね、俺が新曲のアイデアを持っていくと、メンバーは目が点。〈これをどうすればいいのか〉って表情になることが多かった(笑)。だけど、俺に不安はなかったな。興奮してたし、絶対格好良いものになるはずだって思ってたから」。

 まず自分を信じて突き進む。これが横山健の強さである。オーソドックスなロックンロールに始まり、ロカビリーやブルースまでが次々とKen Bandの新曲になっていく。もちろん専売特許と言えるメロディック・パンクも健在だが、シングル“I Won't Turn Off My Radio”がそうであるように、自分が好きだったもの、夢中になってきたものに想いを馳せ、過去を見つめることで未来へ突破しようというメッセージが強いことも特徴だ。

「タイトルには〈センチメンタル〉か〈ノスタルジック〉のどっちかを入れようと思っていて。そういう感覚、本来パンク・ロックにとっては御法度なはずなの。でも自分がそうなってるのは認めざるを得ないし、ノスタルジーが御法度っていうのは、きっと誰かから植え付けられた価値観でしかない。だったらもう、そこは破っていいかなと思った。もっと新しいことにトライして、そこから風穴を開けたかったから」。

 作曲だけの話ではない。これまでやりたくてもやれなかったアレンジ、別に言わなくてもいいと思っていた言葉もたくさん歌詞に出てきた。ロックンロールの歴史と日本の未来を繋ぐ『Sentimental Trash』の楽曲は、すべて、今年46歳になる横山の〈いま〉が爆発したものなのだ。

「いつ死ぬかわかんないっていうと大袈裟だけど、そういう切迫感はいつも持ってるの。発言も行動もそうだけど、いままでやらなかったことも全部やらなきゃって思ってる。やれるチャンスがあるならとことんやるし、そこで大事になるのは、自分がどういう人間で、どういう音楽や表現を残せるかっていうことだと思うのね。だから、音像だけで見れば変化もあるんだけど、俺のなかでは『Best Wishes』から全部が繋がってる。全部が一直線上にあると思えるんだよね」。

 

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