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グールドと同じ曲で鮮烈なデビューを飾ったマルティン・シュタットフェルト、新作は初のシューマン単体作品

グールドと同じ曲で鮮烈なデビューを飾ったマルティン・シュタットフェルト、新作は初のシューマン単体作品

《ゴルトベルク変奏曲》での鮮烈なCDデビュー以後、常に注目され続けるピアニストの最新作!

 現在活躍するピアニストでも、この人ほど「刺激的」という言葉が似合う方もいないだろう。SONY CLASSICALからバッハのゴルドベルク変奏曲でデビューという、往年の鬼才、グレン・グールドと同じ道を選んだ彼は、そのあまりに奇抜な演奏で聴衆の度肝を抜き一躍スターダムへ上り詰めた。その後もバッハをはじめ、ベートーヴェンシューベルトモーツァルトメンデルスゾーンなどドイツ・オーストリアの作品を中心に、個性を失わない演奏を聴衆に届けてきた。しかしその形はグールドのように「どこを切ってもグールド味」といった曲と競うような個性ではなく、曲の形を際立たせた上で更にデフォルメをかけてゆくスタイル。曲の歪さや想像もしなかった美しさが導き出され、面白い事この上なし。そんな彼の個性が最も生きる作曲家の一人がシューマンだろう。元々強い癖のある作品が揃う上、様々な仕掛けがあるだけに、シュタットフェルトの独壇場ともいえる世界が広がる。

MARTIN STADTFELD シューマン:ピアノ協奏曲/子供の情景 SONY CLASSICAL(2015)

※試聴はこちら

 まずは、《子供の情景》。第1曲や第7曲 《トロイメライ》はアッサリ目に演奏したかと思えば第6曲《重大な出来事》では付点リズムを強調して時間をかけて演奏したりと、曲の構成をとことん吟味した音作りを行い、本当にそこに子供がいるかのような生命力あふれた音を聴かせてくる。更に凄いのが《ピアノ協奏曲》。オープニングの下降和音から、思わず仰け反るような仕掛けを披露。転じてオーケストラとの共演では空恐ろしいまでに美しい響きで聴かせたかと思えば、更にカデンツァでは抒情性とテクニックを見せつけてくる。特に緩急の付け方は殊の外見事で、これまでにない刺激を味わうことができるだろう。今年はこの後『モーツァルト:ピアノ協奏曲第1番&第9番』の発売があり、その際組んだアイヴォー・ボルトン&ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団との来日も予定されているとの事。今年はマルティン・シュタットフェルトから目が離せない年になりそうだ。

【参考動画】マルティン・シュタットフェルトが演奏するシューマン〈色とりどりの小品〉

 

LIVE INFORMATION

『2015年度ミューザ川崎シンフォニーホール主催 海外オーケストラ公演』

○5/31(日)17:00開演 

会場:ミューザ川崎
出演:マルティン・シュタットフェルト(p)アイヴォー・ボルトン(指揮)ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団

www.kawasaki-sym-hall.jp/

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