第2作目は、豪奢なウィズ・ストリングス&ホーンズによるLA録音!
ジョアン・ジルベルトは、『Amoroso/Brasil』(1977年)のオーケストラ・アレンジ(クラウス・オガーマン)を気に入っていないことを何度か語っている。オガーマンの編曲自体は悪くないというのが僕の立場だが、『Colors』はジョアンの同アルバムをきっかけに世界的に広まったイタリアの曲《ESTATE》で幕を開ける。このロサンゼルス録音の新作は、“ウィズ・ストリングス&ホーンズ”もの。それだけに、《ESTATE》を選んだということには、プロデューサー(高見一樹)の『Amoroso』へのある種の批評的眼差しを感じずにいられないが、ともあれ、1曲目からサックスと豪奢なストリングス・オーケストラで酔わせる。
「以前からチャーリー・パーカーをはじめ、“ ウィズ・ストリングス” のアルバムは何枚か聴いてましたが、まさか自分が体験できることになるとは思いませんでした。でも、山下達郎さんから若いうちに米国のストリングスと一緒にアルバムを作っておくといい、と勧められました。この年齢でこんな光栄なことはないと思い、その話に乗らせてもらいました」
新作には、《ESTATE》の他にイヴァン・リンスの《Setembro》、ディアンジェロの《Another Life》、ジャズ・スタンダード、そしてオリジナル曲が並んでいる。スタンダード以外はプロデューサーによる選曲とのことだが、《Setembro》はクインシー・ジョーンズのヴァージョンで親しんでいたという。
「あくまでも浅く広くといった感じですけど、黒人音楽は全般的に好きです。クインシーのヴァージョンはTake6が参加していることもあって、昔から好きでした。また、僕は大学時代からセッションをずっとやってきましたが、スタンダードの中でもボサノヴァやラテンの曲をかなり演奏してきた。だから自分のバックグランドの中でも大きな割合を占めています」
“ジャズはラテン・アメリカ音楽の一種である”というジャズ評論家の故油井正一氏の卓見を裏付ける発言だ。3曲あるオリジナル曲のうち、《Happy Tree》は前作に収録されていた曲の再録。できれば、いつかはオリジナル曲だけでアルバムを作りたいと語る。
「アレンジャーのダニエル・バーニッジは《Happy Tree》をすごく気に入ってくれて、この曲を聴いて今回のプロジェクトに対するモチベーションが高まった、と言ってくれました。僕がジャズ・ミュージシャンとしていちばん大切にしているのは、“自分の歌”を歌うということ。つまり歌心ですね。それとスウィング。たとえバラードであっても、演奏がスウィングしていれば、踊ることができる。このことの重要性を、最近ますます意識するようになりました」
LIVE INFORMATION
山下達郎デビュー40周年のアニバーサリーイヤーに贈る、
全国35都市64公演のロングツアーに参加中!
www.yotamiyazato.com/