インタビュー

CittY、敬愛する高野寛招き〈夏〉の昂揚感や切なさを多様なスタイルで描いた新ミニ作『AKE NO MYOJYO』を語る

CittY、敬愛する高野寛招き〈夏〉の昂揚感や切なさを多様なスタイルで描いた新ミニ作『AKE NO MYOJYO』を語る

 シティー・ポップへの接近は、日本のインディー界隈におけるひとつのモードだが、そう括られる面々が明確な何かを共有しているわけではなく、その音楽性はさまざまと言えるだろう。この4人組バンド=CittYの場合は、どちらかというと松任谷由実吉田美奈子といったニューミュージック勢に近いテイストを持っているのが特色だ。そのサウンドには仄かなノスタルジーと確かな普遍性があり、何よりも親しみやすいメロディーがある。『AKE NO MYOJYO』は彼らにとって3枚目のミニ・アルバム。前2作と同様に〈夏〉をテーマにしており、来るべき季節の昂揚感や切なさを、多様なスタイルの6曲で描いている。

CittY AKE NO MYOJYO WATERPROOF(2015)

 「バンドを始めた時には〈夏っぽい音楽がやりたい〉という漠然としたイメージだけがあって、もともとはサーフ・ミュージックみたいなスタイルだったんです。それが活動を続けるなかで、子供の頃から好きだったポップスの形へとシフトしていった。改めて当時のニューミュージックやシティー・ポップを聴くと、お茶の間にも届く力強さを感じるんですよね。自分たちもそういうものを作ろうと」(岸田小石)。

 本作には、メンバーがかねてから敬愛していたという高野寛が2曲のプロデュースと演奏で参加。とりわけキャッチーな印象を残すのが、「〈80年代当時の松田聖子さんに提供する曲〉というコンセプトで作った」(岸田)という“波打ち際のチェリー”だ。

 「そのまま〈80年代のアイドルになったつもりで歌ってくれ〉って言われました(笑)。岸田さんの書く詞はストーリーもあるんだけどイメージ重視というか、ハッとするようなフレーズが飛び込んでくる。そこを大事にして歌っています」(グミ)。

 岸田が全曲の詞/曲を手掛け、バンドの舵を取る。だが、アレンジに関してはラフなイメージだけを持ち込み、バンド全体で固めていくという。

 「ぼんやりしたことしか言われないまま、どんなアレンジを出してもダメ出しされたり(笑)」(けんたろう)。

 「“ハートビートジャーニー”は〈透明感〉というお題があったんですけど、パワフルに叩いたらイメージと合致したんです。真逆に思えるアプローチが上手くいったのがおもしろかったです」(森亘)。

 端正なポップスを紡ぐ一方で、後半の2曲では暴走気味の展開を見せるのもおもしろい。“売れないバンドマンとつきあってる”は「自分たちの境遇も重ねた(笑)」(岸田)というフォーキーなナンバー。一転して“私をディスコに連れてって”では往年のカイリー・ミノーグばりのユーロビートが炸裂する。

 「今回は自分たちの持つ振れ幅の端から端まで見せようと考えた結果、魔が差したというか(笑)。ただ、メロディーと言葉が楽曲の真ん中にありさえすれば、アレンジはここまでやっても大丈夫なんじゃないかなと」(岸田)。

 多様なアイデアを投入したうえで、サウンドの軸を担っているのは、メンバー4人のアンサンブル。バンドにこだわりながらスタイリッシュなポップスを志向しているのがCittYの特性であり、例えばシュガーベイブにも通じる魅力を生み出しているように思う。

 「そもそもバンドを始める時に、ロック畑のメンバーばかり集めたんです。だからアレンジに関しても、ニューミュージックや歌謡曲に寄ったアイデアを出してきたら、〈置きにきた行為〉と見なして却下している。それぞれのパーソナリティーや、いままで培ったものを出してほしいんです」(岸田)。

 


CittY
グミ(ヴォーカル/ギター)、岸田小石(ベース)、けんたろう(ギター)、森亘(ドラムス)から成る4人組。2009年に結成。monaによる2011年のコンピ『モナレコードのおいしいおんがく~午後のパレード~』への参加を経て、2012年にファースト・シングル“SUNSET, SUNRISE”を配信リリース。ライヴ活動と並行しながら楽曲制作を行い、2013年には初の単独CD作品となるミニ作『VACATION IS NOT OVER!』を限定店舗で発表し、翌2014年には2枚目のミニ・アルバム『流線形'14』を上梓。同時に、『VACATION IS NOT OVER!』の全国流通も開始する。このたび、ニュー・ミニ・アルバム『AKE NO MYOJYO』(WATERPROOF)をリリース。

 

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