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COS I LOVE YOU, MR. MOONLIGHT!
ジェフの片思い!? いやいや、彼とビートルズは相思相愛なんです!!

 ジェフ・リンは超が付くほどのビートル・フリーク。ELOでも“Day Tripper”をカヴァーして……などと直接的な例を挙げるまでもなく、各作品を聴けば長年ビートルズへの熱い思いを抱き続けてきたことが、すぐにわかるだろう。

 そんな彼が初めてビートルズのメンバーと深く関わったのは、ジョージの87年作『Cloud Nine』だ。ジェフが手掛けた同作は、70年代の一連のソロ・アルバムを好む往年のファンから〈オーヴァー・プロデュースだ!〉と反発を喰らったりもした。しかしながら、ポップに突き抜けた“Got My Mind Set On You”が大ヒット。結果的には半ば引退状態とも囁かれていたジョージをメインストリームへ呼び戻し、ジェフはジョージから厚い信頼を得るのである。さらにこのアルバムは、シングルB面曲のレコーディング・メンバーを母体にトラヴェリング・ウィルベリーズが結成されたなんていう副産物も生んだ。これらの活動を通じ、ジェフは大好きなビートルズ・サウンドを自分なりに80年代後期の空気と合うようアップデートした、とも解釈できるんじゃないだろうか。

 その成果は自身のソロ作『Armchair Theatre』(ジョージやリンゴも客演!)に結び付いたほか、リンゴの92年作『Time Takes Time』内に収められたジェフのプロデュース曲“Don't Go Where The Road Don't Go”にも表れている。そして、ついに編集盤〈Anthology〉の目玉曲として作られたビートルズ本隊の〈新曲〉――95年の“Free As A Bird”と、翌年の“Real Love”――で、ジェフが指揮を執ることに! 未発表曲の再構築という変則的なコラボではあるが、本来叶うはずのない夢を達成したのだ。ここでの仕事ぶりが評価され、今度はポールの97年作『Flaming Pie』に共同プロデューサーとして抜擢。同じ年に発表されたダイアナ妃の追悼コンピ『Diana, Princess Of Wales: Tribute』でも、ポール参加曲“Little Willow”でジェフは腕を振るっている。このように、長い年月を掛けてジェフは憧れのアーティストと良好な関係を築き、いまでは〈ビートルズの裏メンバーの一人〉と言われるまでになったわけだ。 *吾郎メモ

 


【PEOPLE TREE】ELO
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