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Pile
フェミニンな魅力を解放して新章へ!

 ネクスト・フェイズへ突入したことは、ファッショナブル&スタイリッシュに様変わりしたヴィジュアルからも一目瞭然。自身が所属するμ'sのファイナル公演も控えるなか、Pileよりニュー・アルバム『PILE』が到着した。

Pile PILE Colourful(2016)

 2つの先行シングルや、ライヴではすでに披露済みの“一歩先へ”はハード・ロッキンな意匠のアッパー・チューンだったが、本作のオープニングもトランシーに暴れるシンセと共にスピーディーな展開を見せる“チェックメイト”。尺八と琴の音色をアクセントに和テイストの旋律が舞い踊る“金糸雀”、ストリングスがほぼ全編に配された“ヒカリフライト”などもさりげなくラウド・マナーが敷かれているが、彼女の艶やかな歌声によって、どれもカラフル&ポップな耳触りに。

 また、そんな一本の軸の合間で異なる色合いを見せているのが、ピアノや電子音を纏った可憐なミディアム“雪降る夜”“P.S.ありがとう…”や、その対極にある“EGOIST”と“ヴァンパイア革命”。特に後者はジャジーなシャッフル・ビートに乗せてアダルトな恋の駆け引きを仕掛けてみたり、ミステリアスなサウンドに似合う妖艶さを振り撒いてみたり……とモロに〈女の顔〉を露にしていて驚くものの、これが非常に良い。

 〈ひとりの女性ヴォーカリストとして立つ〉ということを改めて宣言したような、今回のセルフ・タイトル作。さまざまなタイプのフェミニンさとシンクロできるその歌声に、今後の可能性を感じる一枚だ。 *土田真弓