〈一周回った希望〉のその先へ――新たな旅へと出発した4人が奏でるのは、秘めた熱情を大らかなスケールで解放する、重厚かつ壮麗なパワー・バラード!
セカンド・アルバム『What a Wonderful World Line』においては、全14曲を通じて〈意味のない世界に意味を与えるのは自分自身だ〉という〈一周回った希望〉を示したfhána。 その4人が、TVアニメ「テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス」のエンディング曲を表題に据えたニュー・シングル“calling”をリリースする。人の目には見えない霊的な存在=天族と人間との共生をめざし て旅するRPGから派生した異世界ファンタジーを背景に、〈旅の途中の休息〉〈ゆったりした曲調〉といったオファーを元に制作したという同曲だが、そこは 3人のサウンド・プロデューサーを擁する彼らのこと、単純なミディアムではない。異国情緒を忍ばせた重厚なバンド・サウンドを従え、壮麗なストリングスとtowanaの伸びやかなヴォーカルが秘めた熱情を大らかに解放する、途轍もなく盛大なパワー・バラードである。
「オファーの内容は前提として、音楽的にもおもしろいことをやりたかったんで、ちょっとトリップホップ的なアプローチのリズムや打ち込みを入れてるんですよね。だから、淡々とストイックな感じもあるんですけど、そこからバーン!って熱く広がるっていう。通して聴くと、静と動みたいな熱がある曲になったんじゃないかな?って」(佐藤純一)。
「終盤の間奏で、ちょっと不思議なモードになるんですよね。そこからの歌詞と音が俺、すごい好きで。アニメでは流れないところなんですけど、ここはホントに聴いてほしいなって思いますね」(kevin mitsunaga)。
「ちょっと不穏な感じだったり、エキゾチックな雰囲気も出したいなっていうのはあって、イントロの12弦ギターのアルペジオの時点でもう世界観が出来ている、みたいな。あとストリングスも、ビョークの作品みたいな重厚かつ不思議な響きが欲しくて、TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDの石川(智久)さんにお願いしてて」(佐藤)。
「しかも、ちょうど作ってるときにレディオヘッドの“Burn The Witch”が出て、〈カッケー!〉と思って、そういうのも参考にしてたかな(笑)」(yuxuki waga)。
「あと、yuxuki君にはジョニー(・グリーンウッド)になったつもりでギターを弾いてくれって頼みました(笑)」(佐藤)。
「結果的に、UKロックのオンパレードみたいな曲になりましたね(笑)。ブリストルから、グラスゴーから、マンチェスターから入ってるみたいな感じです」(yuxuki)。
2形態で送り出される今回のシングルだが、〈アーティスト盤〉のカップリングには『What a Wonderful World Line』に収録された英語詞のダンス・ポップ“Relief”の日本語歌唱ヴァージョンが登場。〈救済〉をテーマにした文章を意訳して英詞化→それをさらに意訳して日本語詞化するという3段階に渡る表現の変換を経て、林英樹が見事に言葉を当て嵌めている。
「英語ヴァージョンがすごくカッコ良かったので、最初はちょっと不安でしたけど、林さんが英語のときのリズム感を壊さずに日本語を嵌めてくれたし、ツアーで何度も歌った経験も活きてて、リズムでキメるところとか強弱とかは、こっちのほうが出てるかなって思います。あと、私の歌い方だと思うんですけど、英語と比べて日本語だと、響きが明るくなるんですね。その違いもおもしろいんじゃないかな」(towana)。
そして、〈アニメ盤〉にはyuxukiが作曲した“アネモネの花”をパッケージ。〈ボーイ・ミーツ・ガール的な物語〉が綴られているという牧歌的なナンバーだが、そこに凄まじいテクのリズム隊を配している点がおもしろい。
「〈アニメ盤〉に入る曲なんで、〈RPGの最初に訪れる村で流れてそうなBGM〉(笑)っていうのが元の発想で。あと、アコースティックな曲を作ろうと思ってたんですけど、普通にフォーク調の曲を作っても仕方ないので、ちょっとポスト・ロック的な要素を入れていて。アレンジは、ヨーロッパの路上にミュージシャンが集まって演奏してるみたいなガチャガチャ感が欲しくて、トイピアノも、グロッケンも、鍵盤ハーモニカも、笛以外は全部生で録ってます。で、ベードラがすごいっていう。ドラムは柏倉さん(toeの柏倉隆史)なんですけど(笑)。ベースもジャズ/フュージョン出身の二家本(亮介)さんが物凄い動き方をしてるので、バカテクを楽しむ曲でもありますね」(yuxuki)。
フル・アルバム後の第1弾となる本作をもって、新たな季節へと踏み出したfhána。その視界は、どうやらこれまでと比較してよりクリアなようだ。
「さっそく〈サード・アルバムどうしよう?〉って話もちょくちょくしてたり。なんにも決まってないですけどね(笑)。ただ、ファーストのときはここまで早く〈セカンドどうしよう?〉って話はしてなかったと思うので、いまはわりと今後を見据えてるというか、〈やるぞ〉って感じですね」(yuxuki)。