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“フリージア”に連なるガンダムの名花たち

 原点の「機動戦士ガンダム」(79~80年)が名曲“いまはおやすみ”(歌は戸田恵子)を生み、その劇場版(81年)にやしきたかじん“砂の十字架”が使用された頃から、いわゆる当時のロボットアニメとは異なる風情を湛えていたガンダムの音楽。さように楽曲としての独立性とある種の品格を兼ね備えた名曲の存在がガンダム音楽に一定の信用を与えてきた。以降もガンダム世界が拡張されていくたびにTM NETWORK西城秀樹谷村新司らが曲を寄せ、21世紀に入るとJ-Popのメインストリームも巻き込んでその流れは顕在化していくこととなる。Uruの“フリージア”がその延長線上で独自の輝きを放っているのは言うまでもないが、ここではその系譜を紡いできた名曲の一部を紹介しておこう。 *出嶌

 

VARIOUS ARTISTS 「機動戦士ガンダムSEED」COMPLETE BEST ソニー(2004)

21世紀最初のガンダム作品「機動戦士ガンダムSEED」(2002~03年)は、T.M.Revolution玉置成実らのテーマ曲が一般的なヒットとなり、現在にまで至るガンダム曲の潮流を創出した一作とも言える。とりわけ中島美嘉の儚げなスロウ“FIND THE WAY”(作詞も彼女自身)は、後に高畑充希らも取り上げた名曲だ。 *出嶌

 

Rie fu single collection I Can Do Better ソニー(2011)

有坂美香高橋瞳らに代表曲を授けた「機動戦士ガンダム SEED DESTINY」(2004~2005年)だが、Rie fuの歌うEDテーマ“I Wanna Go To A Place...”もまた彼女最大のヒットに。英国あたりの田園風景が浮かぶフォーキーなサウンドと包容力に満ちた歌声が、苛烈な物語とは対照的な癒しを与えてくれる。 *北野

 

Aimer RE:I AM EP DefSTAR(2013)

OVA「機動戦士ガンダムUC」で唯一複数回テーマ曲を歌ったAimer。そのうち“RE:I AM”は、本編の劇伴も担った澤野弘之と初めて手合わせしたもので、それまでの彼女のイメージを覆す荒々しいギターと厳かな合唱が劇的な世界観を作り上げている。重力の井戸の底で軋む運命のように険しくも美しい名品。 *北野

 

May J. ReBirth rhythm zone(2015)

久々の富野由悠季監督作品として話題を呼んだ「ガンダム Gのレコンギスタ」。その後期オープニングを飾った“ふたりのまほう”は、壮大な弦楽と軽やかに回転するドラムン・ビートをカンヴァスにして、朗々とした歌で晴れの景色を描き出した希望の歌。明るいトーンだった本編の内容にもピッタリだ。 *北野

 

MISIA オルフェンズの涙 ARIOLA JAPAN(2015)

「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」の〈第1期〉を象徴する名曲といえば、鷺巣詩郎の作/編曲でMISIAが雄大かつブルージーに歌い上げたこのエンディングテーマ。鷺巣の手によるアニメ音楽といえば当然〈エヴァ〉がお馴染みだが、それ以前に“めぐりあい”(82年)の編曲でガンダムとも邂逅していた。 *出嶌

 

VARIOUS ARTISTS 機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096 COMPLETE BEST ソニー(2016)

「機動戦士ガンダムUC」をTV用に再構成した「機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096」(2016年)では、澤野弘之がSawanoHiroyuki[nZk]名義で新テーマ曲を提供。Aimerと宇宙を激しく駆ける“bL∞dy f8 -eUC-”も忘れ難いが、ここでは新人のTielleを起用して流星痕の如き余韻を残す美曲“Into the Sky”を推したい。 *北野

 

森口博子 森口博子 パーフェクト・ベスト キング(2013)

そもそも〈Zガンダム〉のOPテーマ“水の星へ愛をこめて”(85年)でデビューし、映画〈F91〉の主題歌“ETERNAL WIND ~ほほえみは光る風の中~”(91年)を自身最大のヒットとする彼女は、G音楽史上のレジェンド。昨年は「THE ORIGIN IV 運命の前夜」の主題歌“宇宙の彼方で”を担当して界隈の話題になった。 *出嶌