ニューオーリンズ出身でアトランタを拠点に活動するデフ・ジャムの新星が、昨年のEPを前振りにして放った初のフル・アルバム。“Ghetto”をヨー・ゴッティ客演版で再収録した以外、本編は基本的に新曲だが、ゲットーでのハードライフを匂わせる内容はEPとの連続性を感じさせるものだ。ドラマボーイやナックルヘッド、ジャスパー・キャメロンらが制作した楽曲は、ジージィを招いた“Make It Home”をはじめ、プッシャーTやファボラスらの客演曲も含めて憂鬱曲調のビターなスロウ~ミディアムが中心で、アルシーナは時折裏声を絡めながら青いテナーで実直に歌い込んでいく。懐かしいサザン・ソウルの薫りを放つリック・ロス客演の“Benediction”を聴けば、この21歳にR&Bの未来を託したくなるはず。