〈感謝〉を謳った2年半ぶりの新作は、前作での90sレミニスをさらに拡大した原点回帰的な内容に。通常版CDでのゲスト3名も同じNY育ちかつ70年代生まれのラッパーで、制作には旧縁のダークチャイルドも参加。故ノトーリアスB.I.G.の曲を踏まえたネタ使いのファボラス客演曲や、DマイルとDJキャシディがジーン・カーンのクラシックを敷いた“Be Happy”路線など、前半ではケイトラナダ制作のメロウなダンサーも含めて往時のヒップホップ・ソウル感をストレートに打ち出している。年輪を刻んだヴォーカルが生々しい後半のスロウ〜ミディアム共々、長年のファンを満足させながら前進もした快作だ。