度重なる想定外を乗り越えて辿り着いたニュー・シングル。不確かな未来へ向かって、いまなおギリギリのエッジに立ちながら、絶対届くと信じて、7つの魂が叫ぶ!

 

土台が出来上がった

 メンバー脱退/加入などのトピックをがむしゃらな勢いに転換してきた昨年の苦闘は過去記事などを参照いただくとして……年末のシングル“Plastic 2 Mercy”を初めてオリコン10位に叩き込み、上昇気流に乗って始まったGANG PARADEの2017年。2月には中野heavysick ZEROで、初の女性限定ライヴも含む4日連続5公演を開催、7人にとっては新たな始まりを誓う機会となったようです。

カミヤサキ「昨年11月のBLAZEは〈7人体制のお披露目〉っていうトピックがあるライヴだったけど、中野は特別なテーマのない、ベーシックにパフォーマンスと気持ちで勝負する4日間だったので、自分たちのリアルな実力が試される経験でしたね。いままでに比べたら良い状態で臨めたけど、改めて課題も生まれたというか、やっぱそう簡単に満足いくパフォーマンスは毎回できないよなってところも感じつつ。でも、やっとこの7人でひとつのものを作り上げる土台が出来上がったな、って感じました」

 とはいえ、そんな出来事も遠い過去のように思えるほど、いまの7人は情報量の多い濃密な日々を過ごしています。このインタヴューを行ったのは、7人が所属するWACKの〈新メンバー合宿公開オーディション〉とその後に行われたBiS、BiSHとのフリー・ライヴ〈WACK EXiBITiON〉の数日後。1週間に及ぶオーディション企画には、GANG PARADEからはユメノユアとテラシマユウカが参加し、マラソンやダンス対決、学力テストなど(詳細は各自調査!)で活躍して、〈ニコ生〉の実況でも視聴者から大きな支持を得ることに成功したのでした。

ヤママチミキ「合宿に参加してない5人も、個々でも観てたんですけど、その間の練習する時にはサキちゃんがパソコンを持ってきてくれて、画面を開きながら2人が映る時だけ〈映ってるよー、いま!〉って観たり、応援の気持ちで観てましたね」

サキ「やっぱりBiSやBiSHよりも知られていないから、最初はコメント欄とかでちょうどイジりやすい存在みたいな扱いになっちゃってて、それが現実なんだなって……〈いまに見てろよ~!〉っていう気持ちでしたね。だから、最初は2人のことも心配の目線で観てたんですけど、だんだん頼もしくなっていく姿を応援する気持ちが強くなって。観てくなかでも気持ちが前向きに変わっていったかな」

テラシマユウカ「絶対そういう扱いを受けるだろうなって、行く前から思ってて。でも、そこを気にしてたら気持ち的にダメになっちゃうと思って、あんまり気にしないようにしてました。勝ちにこだわって毎日24時間ずっと気を抜かずに、全力で何かに取り組んで。結果を残せば、みんなの反応も変わるかなって」

サキ「実際に変わっていったよね」

ユメノユア「1つに絞りきれないくらいいろんなことを学べたんですけど……例えばダンスの発表の時に上手くいかなかったことがあって、その時に渡辺(淳之介:WACK代表)さんが〈今日より明日、明日より明後日だし、何回失敗してもいいから、やり方を変えて調整していくことが大事〉みたいなことを仰ってくださって。それは普段の活動にも通じることだし、悔しい時も〈絶対に明日は良くしよう〉って前向きに考えることができるようになって、そこが自分では一番学べたことです。その結果、ギャンパレを知ってもらえたっていうのが一番の収穫だったと思います」

キャン・マイカ「最初は〈選ばれていいな〉って羨ましさもあったんですけど(笑)、この2人ががんばったからこそ最終的に〈ギャンパレ凄い良かったね!〉って評価になったし、ここまでのストーリーができたなって思ったので、凄い感謝の気持ちです」

 

結果を残せば変わる

 そうやって観る者の認識を変えていった結果、3組で臨んだ〈WACK EXiBITiON〉では入魂のパフォーマンスを披露。BiSやBiSHのファンも惹き付けたステージは、ベストの呼び声も高いものとなりました。

ココ・パーティン・ココ「いろんな方にそうやって言っていただけて、気持ちってパフォーマンスとしてちゃんと伝わるんだなって思って。やってて意味があったというか……嬉しかったです」

ユイ・ガ・ドクソン「野外ってパフォーマンスしかないじゃないですか。照明とか演出の効果とかじゃなくて、自分たちのパフォーマンスのみでの勝負だと思っているんで、そこでそう言ってもらえたのが、ホンマに嬉しかったです」

サキ「後から映像でも観たんですけど、うちらのガツガツしたところがめっちゃ出てて(笑)」

ココ「感動しました。ギラギラが凄くて」

マイカ「1曲目の“Happy Lucky Kirakira Lucky”から怖いくらい」

ココ「そうそうそう。気合い入りすぎて」

ミキ「画面ごしでもヤバいと思った」

ユウカ「気持ち良かったです。あんないっぱいの人の前でやれて。ステージに立って前を見た瞬間、イェーイみたいな。想像よりもお客さんがいっぱいでビックリした」

ドクソン「でも、ステージ上で誰も泣かなかったんですよ、パフォーマンス中。はい。それが何か、自分もその1人ですけど、ホンマに最高のカッコイイ仲間だなって」

ユア「泣いた……(笑)」

ドクソン「え、ホンマ?」

ユア「“FOUL”で。悲しいとかじゃなくて、これからがんばらなきゃな、って高まって」

ドクソン「泣いてましたわ」

ユウカ「“UNIT”でマイカと目を合わせるとこは私もヤバかった」

マイカ「顔を見ちゃうとね」

ココ「その日は夜に新木場で〈アイドル甲子園〉さんにも出させてもらったんですけど。普通にイヴェントで4回まわしとかすることも全然あるのに、その時だけは翌日がもうありえない筋肉痛で」

サキ「ヤバかったね。取り憑いたかなって思うくらい身体が重かった」

ココ「そう、全員が〈重い〉って。いままでにない緊張感があったんでしょうね。みんな気を張って、集中してたんだなって。やっぱりそこは毎回そうなるようにやっていきたいです」

 なお、オーディションの結果、GANG PARADEへの新加入はなかったものの、カミヤがBiSのアヤ・エイトプリンスと期間限定でトレードされるというWACK一流のサプライズが発動。彼女にとっては古巣への限定復帰ということになります。

サキ「動揺はしましたけどね、流石に(笑)。ただ、そもそも新メンバーが入るかもしれない状況だったので……それで〈GANG PARADE、該当者なし〉って言われて、少し安心した矢先にトレードって発表されたんで、ガーンみたいな(笑)」

ココ「すっごいホッとしたところできましたからね」

サキ「そうそう、それで一瞬ビックリしたんですけど、よくよく考えれば、それだけギャンパレに勢いを感じてやっていただいてるのかなって思ったので。数か月だけでも離れる寂しさはありますけど……別にその気持ちだけじゃないから、BiSで一番取るぐらいの気持ちで、かかっていってやろうって思ってますね」

 

絶対届くと信じて

 で、やっと本題。現体制で2枚目となるニュー・シングル“FOUL”の話です。エモーショナルなメッセージと開放感のあるダイナミックな展開に、〈BODY&7SOUL〉というオーディエンスのシンガロングを加えることで完全体となる表題曲は、屋外でのパフォーマンスも似合いそうな、スケールの大きいナンバーに仕上がっています。

GANG PARADE FOUL T-Palette(2017)

サキ「そうですね。うん。けっこう振り付ける時も空とかをイメージして振り付けたので、野外でやると気持ち良いかも」

ココ「〈WACK EXHiBiTiON〉で歌った時も凄い気持ち良かったですよ。リリース・イヴェントでもビルの屋上でやらせてもらったんですけど、ファンの人からも〈外のステージにピッタリの曲だね〉って言ってもらえたし、サキちゃんがイメージして付けた振り付けとも凄い合ってる」

サキ「もともと、とある楽曲にインスパイアされた曲なので、そのイメージも考えたら、外、晴れ、ウワ~ッみたいな」

マイカ「夏フェスみたいな。いっぱい出られたらいいなって思いますね」

 歌詞はメンバーが個々に書いたものが組み合わせられたものだそう。

ミキ「けっこうメインでサキちゃんが書いてて、要所要所でみんなの書いた部分が入るよう、組み替えてまとめていただいた歌詞なので」

ユウカ「カップリングと2曲同時に届いて、聴いたイメージが真反対というか、相対するなと思ったんですよ。それで“FOUL”のほうは前向きに書いてました。困難がいっぱいあるけど、私たちはやっていくぞ、みたいな」

マイカ「サビの〈絶対〉って言葉は私しか書いてないみたいです(笑)」

ミキ「その後の〈届くと信じて〉ってミキが書いた」

ドクソン「へえ~、好きなとこや」

サキ「ニュアンスは繋がってるんだね。特にテーマは決まってなかったんですけど、みんな同じような視点で書いたのかな」

 そうやって全員の思いが1つになって生まれた“FOUL”ですが、ヤンキー感(?)を強調したMVではカミヤがバリカンで髪を刈る演出も話題になりました(左頁の写真はMV撮影前のもので、現在の彼女はモード系の坊主に変貌しています)。

サキ「トゥエンティ・ワン・パイロッツの“Car Radio”のPVを渡辺さんと観てたんですけど、自分で髪を剃り落とす場面があって、単純に〈カッコイイじゃん〉って話になって。〈GANG〉のイメージもあるし、私も〈いいですね〉ってやってみました」

ココ「悲壮感がまったくなくて。女の人が髪を剃るってショッキングじゃないですか。サキちゃんはもう〈これが通常?〉ぐらいしっくりきてて、モノにしてる感が凄い」

ドクソン「確かに、髪の毛あった頃の写真見ると違和感あるな」

ミキ「普通に馴染んでる」

サキ「最初は一応ウィッグとかも用意してたんですけどね。予想以上にいい反響があって、逆にキャッチーになったのかなって思って、刈り直したりしてます(笑)」

 一方、ポジティヴでギャングな表題曲に対し、カップリングに用意されたのはダークな雰囲気の“Close your eyes”。緩急と哀愁のあるドラマティックな曲調に、マイカ作詞の切実な言葉が乗っています。

マイカ「何にも考えてなさそうな脳天気ヤローに思われがちなんですけど(笑)、一応考えてるんです。幼い時からこの仕事に憧れてて、いまはこうして活動してるけど、簡単にうまくいくことはないし……そのもどかしい気持ちとかを書きました。曲調は暗いんだけどマイナスなことを書くのも違うし、自分の思いをバッてぶつけて。渡辺さんにも〈キャンらしさが出てきたから採用した〉って言ってもらえたし、この調子でどんどん書いていきたいんですけど……でも、まぐれですよね?」

ミキ「いきなり卑屈(笑)」

サキ「普段見せないマイカって感じで。真面目な一面が見えましたね」

 

全員がレヴェルアップできる

 東名阪を回るツアーも、この号が出る頃には東京・SHELTER公演を残すのみ。SHELTERといえば、カミヤがプラニメ時代に初ワンマンを開催し、POP時代に謹慎からの復帰ライヴを行った、いわば節目に相応しい場所(もっと遡れば〈元BiS〉として彼女がBiS最後の公演を行った場でもあります)。そんな会場でのライヴを最後にこの7人の姿はしばしの見納めとなります。

2017年4月25日発行のbounceに掲載

サキ「お客さんは絶対そういう気持ちで来てくれると思うけど、そういうことを感じさせないライヴにしたいですね」

ユア「それは思う」

ドクソン「そういう見え方を超えたいです。ファンの人たちもトレードを楽しんでくれてる声があるし、自分たちもポジティヴなチャンスとして受け取ってるんで」

サキ「私はBiSの練習もあるし、みんなはアヤとの練習もあるので大変ですけどね。ただ、去年の11月もそうだったんですけど、ホントにたぶんドMで、追い込まれれば追い込まれるほど、頭の回転がめっちゃ良くなってくるんですよ(笑)。だから、いまは……スポーツ選手で言うゾーンみたいな状態に片足入ってるんで、4月をバンッて越えれば、ギャンパレも良くなるし、BiSも良いスタートを切れると思ってます」

ミキ「大変だけど、マイカが入る時も、3人が入った時も、けっこう詰め詰めで振りは入れてたし。自分たちもパフォーマンスを見直せる貴重な時間になるので、この期間に全員がレヴェルアップできるかな」

ユウカ「合宿で候補者のみんなに振りを教える時、〈自分、ずっとサキちゃんに頼ってたんだな〉って思ったんです。サキちゃんがいなくなって、6人のうち誰か1人が引っ張っていくんじゃなくて、みんなで意見を出し合ったり、人任せにしないでやっていきたいですね」

ドクソン「サキちゃんがビックリするぐらいになってたい。焦らせたいかな」

サキ「じゃあ、私はさらにその上を行きたいね(笑)。移籍してる間はもちろん全力でBiSを精一杯やるんですけど、そのことでギャンパレも結果的に上がれるっていう流れを作るところまでが私の移籍の意味だと思うので、良い焦りをお互いに与えていけたらいいのかなと思います」

ドクソン「たぶんアヤも凄い覚悟で来てくれるので、お互いに良い効果があるように、とにかく全力でまいります」