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腐食によって宿る美

 また、“The Spell Of Vanishing Loveliness”には、昨年再結成を果たしたシューゲイザー・バンド、ラッシュのミキ・ベレーニが作詞と歌で参加。10年ほど前、2人がはとこの関係であることがわかって以来親交を深め、今回のコラボレーションに繋がったということだが、この作品ではもう一人の親類──叔父であり、日本を代表する版画家の中林忠良もアルバムのアートワークに作品を提供している。

「中林さんは腐食銅版画の第一人者なんですけど、10年前にそれまでの作品を集めた展覧会で昔の作品を観て、それ以来、アートワークで使わせてもらいたいと思っていたんです。腐食銅版画というのは、銅を腐食させる特殊な液体をかけて、その時間が長ければ長いほど黒くなって、短ければ短いほど薄くなるんですけど、中林さんの作品はモノクロなのに異常にディテールが細かく、濃淡の階層が深いんですね。今回は数ある作品のなかで僕が好きな60年代後半から70年代にかけての作品を選ばせてもらったんですけど、展覧会で観て以来、中林さんの作品が頭のなかにずっとあったので、アルバムが中林さんの作品に自然と寄っていったところもあります」。

〈熟した〉、もしくは〈豊潤な〉という意味でもある〈メロウ〉な音の波と腐食に美が宿る銅版画のアートワークは、経験や気の遠くなるような試行錯誤を重ねることでのみ到達し得る表現の深みを示唆しているようでもある。

 「歳を取って、肉体の衰えを感じたりもしつつ、それでも大人になって楽しめることだったり、わかってくることもあったりして。(先行7インチの)“いつか / どこか”のカップリングに坂本君が歌詞を書いてくれた“悪くない。この感じ”っていう曲が入っているんですけど、まさにそんな感じですね。わからないことはまだまだたくさんあって、それが作品制作の原動力でもある。とはいえ、制作が今回のように11年もかかったら次は(自身の年齢が)60代ですから、さすがにそれはマズい……ですよね」。

 

関連盤を紹介。

 

INFORMATION
【〈MELLOW WAVES TOUR 2017〉開催決定!】

日時/会場:10月9日(月・祝)新潟 LOTS、10月11日(水)仙台 Rensa、10月13日(金)・14日(土)札幌 PENNY LANE 24、10月19日(木)高松 festhalle、10月21日(土)なんば Hatch、10月22日(日)名古屋 DIAMOND HALL、10月25日(水)・26日(木)新木場 STUDIO COAST、10月28日(土)横浜 Bay Hall、11月3日(金・祝)広島 CLUB QUATTRO、11月4日(土)福岡 DRUM LOGOS
*詳細はオフィシャルサイト〈www.cornelius-sound.com/〉へ!