ニコ・ミューリーとの交流でも知られるヴァーモント生まれの才人が、初の全編オリジナルで挑んだ一枚。伝統的なフォークを基底にしつつも、自由度の高いインストゥルメントによって微妙に歪んだ独特の音空間を作り上げている。ティム・バックリーやアーサー・ラッセルの衣鉢を継ぐ、異端のアメリカーナ。 *北爪
元ウッズ~現ベイビーズの中心人物が完成させたソロ4作目。シンズのリチャードらを指揮官に迎えて鳴らすのは、「米国の大都市に捧げるラヴレターのようなもの」という本人の発言からも窺える通り、クールで都会的なフォーキー・ロック。〈ルーツ色の強いルー・リード〉などと形容したくなる艶気が魅力だ。 *北爪
タイトルも直球なハウリング・ベルズのフロント女子による初のソロ・アルバムは、ベックやノラ・ジョーンズ仕事で名高いガス・シーファートのプロデュース。本隊譲りのサイケデリックな音像の中にカントリーやオールディーズ調を忍ばせ、モノトーンのダーク・ファンタジーを紡ぎ出している。 *赤瀧
トロイ・ミラー(エイミー・ワインハウス他)とスナーキー・パピーのマイケル・リーグが共同でプロデュースを担当し、ジェイコブ・コリアーやデヴィッド・クロスビーがゲスト参加したソロ名義での初作。フォークやチェンバー・ポップなどを混ぜた実験意欲に溢れる歌ものジャズ盤だ。 *内本
アンタイでは古株として見られるようになったNY生まれのフォーク・シンガーによる最新作。インスピレーション源にサン・レコーズを立ち上げたサム・フィリップスの名前を挙げ、ゴスペルやリズム&ブルースへと接近。持ち前の苦み走ったバリトン・ヴォイスに〈New〉な魅力を与えています。 *山西
ドミノ傘下のウィアード・ワールドから登場した変わり種。この初フル・アルバムではオールドタイミーなサウンドを、ヴァン・ダイク・パークスのように少し斜めな視点から追求している。(体調不良だった頃の)ブライアン・ウィルソンへの敬意に溢れた曲など、アメリカへの歪んだ愛でいっぱい。 *桑原
技アリのコード進行で哀愁たっぷりなメロディーを紡ぐカナダ生まれのシンガー・ソングライターが放った2作目。演奏はますますシンプルになり、ランディ・ニューマンやティム・バックリーを彷彿とさせるノスタルジーな歌世界にウットリ。ボブ・ディラン似のハスキー・ヴォイスも美味。 *赤瀧
ケイト・マクギャリグルとラウドン・ウェインライト3世を親に持つフォーク界のサラブレッド。一時はエレクトロニカ方面へ寄った音作りを実践していたが、本作では原点回帰。兄のルーファス・ウェインライトやべス・オートンの提供曲を、軽やかに浮遊するコケティッシュな歌声で乗りこなしている。 *桑原
ニューオーリンズのグループによる最新作。プエルトリコの血を引き、若い頃に全米各地を放浪したというリーダーのアリンダ嬢の経歴が、フォークやブルース、ラテンの要素も滲む雑多な音に結実している。架空の街で己のルーツとアイデンティティーを探すというコンセプトも実にアメリカーナ的。 *北爪
D.W.ニコルズとも共演経験のあるオルタナ・カントリー歌手。マイ・モーニング・ジャケットのジム・ジェイムズをプロデューサーに迎えた本作では、オーセンティックな味わいが光る、叙情的で軽快なサウンドを披露。とても耳馴染みが良く、インディー・アメリカーナの入門テキストとしても最適。 *北爪
ブラック・ツイッグ・ピッカーズのフィドル・プレイヤーが、12弦ギターを操る女性シンガーのサラ・ルイーズ・ヘンソンと組んだデュオの初作。アパラチア地方の伝統音楽を昨今のドローン~ミニマル作法で聴かせ、いかにもスリル・ジョッキーらしいアヴァンギャルドな精神が全開だ。 *赤瀧
5年ぶりとなるソロ9作目。バック・メンバーのポール・ブライアンがプロデュースでも腕を振るい、エレポップな前作『Charmer』の反動からかアコギを中心にしたナチュラルなサウンドへシフト。制作中に70年代のソフト・ロックをよく聴いたそうで、その影響が柔らかなコーラスに表れている。 *内本