実に11年ぶりのオリジナル作。とはいえ、プロデュース作品やサントラ、METAFIVEとしての活動などさまざまなプロジェクトで動き続けていただけに、シーンに戻ってきたというよりは、久しぶりにCorneliusの〈根っこ〉が見えた、という感じ。前作『SENSUOUS』では音を点で捉え、モザイクのように構築する手法を極めた感があったが、今回は点から曲線へとシフト。メロディーを際立たせた歌モノ中心の作品になっている。サウンド面は、これまでのようにマッド・サイエンティスト的な凝り方で構築するというより、ミニマルに磨き上げられた心地良さがあり、アルバム全体を包み込むのがタイトル通りメロウで内省的なムード。小山田圭吾の肩の力を抜いた歌声も手伝って、ボサノヴァのような親密さを漂わせながら、時には歌詞を提供した坂本慎太郎の歌世界に通じる無常観が顔を覗かせたりも。また、小山田の親戚にあたるミキ・ベレーニ(ラッシュ)と珍しくデュエットを披露するなど、Corneliusの新境地がここに。