JUNNA
大人びたヤバさで魅了する、底の知れない16歳

 2016年、「マクロスΔ」に登場した音楽ユニットのワルキューレで美雲・ギンヌメールの歌唱パートを担当し、当時15歳にして華々しい歌手デビューを飾ったJUNNA。パワフルでガツンと迫力のある歌声はユニット内でも際立っていたが、このたび登場したミニ・アルバム『Vai! Ya! Vai!』で、ついにソロ・シンガーとしての道を歩みはじめた。

JUNNA Vai! Ya! Vai! flying DOG(2017)

 まず何といっても、彼女の口癖だという〈ヤバい〉を由来に作られた表題曲がヤバい! 西直紀が作詞、コモリタミノルが作/編曲したこの曲は、同コンビが手掛けたワルキューレの“いけないボーダーライン”にも通じる、ファンキーでズシリと重たい歌謡ロック路線。早くもヴェテラン級の風格を湛えた太く艶っぽいヴォーカルに、〈少女にでも/娼婦にでも/なってみたいの〉といった挑発的な歌詞も飛び出し、山口百恵~中森明菜あたりのラインを狙ったような不良っぽさが逆に新鮮な逸曲だ。

 コモリタはさらに、ホーンがダンディーにいななく“JINXXX”、岩里祐穂による情熱的な悲恋の歌詞がブルージーに響くスロウ“火遊び”を提供。いなたいメロディーとモダンさを持ち合わせた楽曲で、大人っぽいヤバさが漂う本作の雰囲気作りにもっとも貢献している。

 その他にも、JUNNA自身が作詞に関わったEDMテイストの直線的なダンス・ポップ“Catch Me”、裏声を効果的に交えた重量級のエモ・ロック“大人は判ってくれない”とヴァラエティーに富んだ楽曲が並ぶなか、多保孝一の提供した“Shooting Star”がこれまた素晴らしい。ハモンド・オルガンの音色が心地良いアーシーかつ洗練されたソウル・ポップで、例えば70年代のキャロル・キングやカーリー・サイモンを思い出してしまう出来栄えだ。ただ、どんな曲においても主役の歌声は確固とした自分らしさを発揮しているのだから、この16歳は本当に底が知れない。

ワルキューレの作品。