写真/塚原孝顕

颯爽たるワイドルセブンの勇姿もこれにて見納め——メンバー卒業を控えて新章へと向かうアプガが、進行形の戦闘力と持てるフォースの限りを詰め込んだ、全身全霊のフォース・アルバムを喰らえ!

 およそ2年半ぶりのニュー・アルバム『4thアルバム(仮)』を完成させたアップアップガールズ(仮)。昨年11月には日本武道館で初の単独公演を行い、妹分ユニットとなるアップアップガールズ(2)の誕生といった周辺トピックも話題だが、昨年4月の『パーリーピーポーエイリアン/セブン☆ピース』以降のシングル3作をほぼコンプリートした今作は、現場至上主義を体現してきた彼女たちが楽曲面の奥行きを深めてきた時期の記録であり、最高沸点に達したアプガの4th=Forceを体感することのできるアルバム。そして、卒業を間近に控えた佐藤綾乃と仙石みなみを含む〈7人〉での最後の作品でもある。

アップアップガールズ(仮) 4thアルバム(仮) T-Palette(2017)

佐藤綾乃「それまでは一方的に気持ちとか熱さをぶつけるような曲が多かったけど、“セブン☆ピース”みたいに優しく包み込むように歌いかける曲だったり、いろんな顔を見せようとしてるアプガがたくさん詰まってる」

仙石みなみ「去年のシングルは武道館への思いがたくさん込められてますし、『アッパーディスコ/FOREVER YOUNG』は私と佐藤にとって最後のシングルだったので、〈これが最後〉っていう……いままで以上に思いや感情の注がれてる曲が詰まったアルバムですね」

新井愛瞳「“アッパーディスコ”は、アッパーで元気ハツラツとした歌ではあるけど、“アッパーカット!”とか“チョッパー☆チョッパー”よりかはテンポが遅くて違ったテイストなんだけど、みんなで一緒に盛り上がれる曲。〈変化と進化〉を見せていきたいというアプガの活動テーマに相応しい曲でした」

関根梓「“Shout!!!!!!!”が思い出深いです。ほぼほぼメインで歌わせてもらってる曲なんですけど、〈そんなんじゃ関根をそこに置いた意味がない!〉って、久しぶりにマネージャーさんから怒られた曲でもあって。改めて〈歌を届ける〉っていうことだったり、いろいろな気付きがあった曲でした」

森咲樹「“FOREVER YOUNG”はライヴで成長していってて、やるごとに楽しくなってる曲ですね。〈遅すぎる青春なんてない〉って、アプガ(2)のオーディションでナビゲーターをしたときに私自身も勉強になったことが歌詞になっていて。後輩たちも必死だろうけど私も負けられない、まだまだこれからだ!って思わせてくれる曲です」

古川小夏「アプガ(2)のオーディションでダンス講師として関わらせてもらったり、振付もさせていただいて、日に日に彼女たちのレヴェルが上がってきているのを見てると、そういう彼女たちにずっと憧れてもらえてる先輩でいたいなって思うんです。そうやってプレッシャーを感じることが私にはイイ方向に働いてるというか、もっといろんなことを追求してみようとか、貪欲さのきっかけになってます」

 新曲として収録された“Way of Our Life”は、〈私たちの生きる道〉というタイトルからして意味深いものだが、〈七色に輝くこの思い出も未来も 道になっていく 続いていくんだ〉というフレーズも感動を誘う、7人のとってのメモリアル・ソング。

佐保明梨「いままでなら〈がんばろう!〉みたいな歌はメンバー全員が同じことを思って歌ってたんですけど、たぶんいまは……ちょっとずつ見てるものが違ってきてるんじゃないかなって思っていて、それによって曲に表れるパワーもいままでと違ったものが出てるんじゃないかなって思うんです。歩んできた道があったからこその今だし、未来なので、歌詞を噛みしめすぎると泣きそうになっちゃうんですけど、これからの未来に向けた7人の決意みたいなものを感じ取りながら聴いていただけたらいいなって思います」

 そんなアルバムの、さらにスペシャルな初回限定盤にはメンバーのソロ7曲が収録されている。「卒業前にちゃんとCDとしてお届けできるのは嬉しいです」(仙石)という和テイストのアッパー・チューン“サムライドル ~武士女道の上より~”、「アプガではない別のヒロインが歌っているような曲なので、聴いた人それぞれの目線で入り込める曲」(古川)というラヴリーな“ダーリンはロストチャイルド”、「可愛く見られたりとか、柔らかい印象で見られたり、そういう森咲樹なんですけど、内に秘めてるものが実はあって、愚痴じゃなくて本音をサビでシャウトしてる」(森)というエキセントリックな“メガモリッ! ma vie!!”、「いままでにない大人っぽい曲ですけど、歌詞は今の私の等身大だなって。ヘンに背伸びするでもなく、ステージに立ってるときの気持ちに近い」(佐保)というドリーミーな“My World”、「自分の気持ちというよりはファンの方の気持ちを歌ってて、〈ボーイッシュなアイツが少しずつキレイになって〉とか、自分で歌ってて恥ずかしい(笑)」(新井)という愛らしいロックンロール“ショートカットに片想い”など、武道館公演などで披露されてきた曲のほか、関根と佐藤のソロは新録。佐藤の歌う“スタートライン”は、『!!!!!!!!/君という仮説』収録の“YOLO”に続く自作詞。

関根「“キミイロスカイ”は、憧れの人がいる女の子の気持ちを歌ってるんですけど、私も自分と重なる部分があって、いろいろ妄想はしてても、実際にその人を目の前にすると何もできなくなっちゃって前に踏み出せない……そういう意味で入り込みやすい曲でした」

佐藤「前に作詞した“YOLO”は7人の気持ちを歌ってて、私たちをよく知るファンの方たちに〈イイ歌!〉って思ってもらえればって書いたものだったんですけど、今回は誰にでも当てはまるような気持ちを書きたかったんです。私は卒業して違う道を歩むわけですけど、いままでやってきたことが無駄になるとは思ってないし……何度終わりがあっても、いろんなことを諦めなかったらスタートラインに何度でも立てるんだよっていうことを伝えたかったんです」

 そんな7人の勇姿は、9月15日にZepp Tokyoで開催されるワンマン公演で見納め。

古川「みんな卒業を前向きに捉えていて、もちろん寂しい気持ちもありますけど、2人が気持ち良く卒業できるように、残る5人にとってもここが良いチャンスとして捉えてます。5人それぞれがやれることを伸ばして、7人の時よりもやれることが広がったなって思ってもらえるようになっていきたいですね。7人の時よりパワーアップしていきますよ!」