アップアップガールズ(仮)がニュー・シングル「愛愛ファイヤー!!/私達(with friend)」を本日リリース。タイトル通り〈愛〉をテーマとしたダンス・チューン“愛愛ファイヤー!!”に、今年6月にリリースされた最新アルバム『5thアルバム(仮)』の収録曲を新録した、THE イナズマ戦隊が全面参加した“私達(with friend)”。新たな決定盤をドロップしてから半年を待たずして、アップデートしたアプガの姿を見せてくれる充実の2曲だ。そして、来る12月27日(木)には東京・Zepp Tokyoでのコンサートも控えるこのタイミングで、メンバー関根梓の最新インタヴューが到着。関根が今だからこそ語れた、貴重な内容となっているので必見だ! *Mikiki編集部
2018年、アイドル業界は激震に見舞われた。アイドルネッサンス、ぷちぱすぽ☆、La PomPon、GEM、Cheeky Parade、チャオ ベッラ チンクエッティ、ベボガ!、PASSPO☆、ベイビーレイズJAPAN、バニラビーンズ……。主だったところだけでも、実にこれだけのグループが次々と〈解散〉もしくは〈活動休止〉したのである。さらに来年2月には、妄想キャリブレーションも活動を停止させるという。乃木坂46や欅坂46の盛り上がりが大きく報じられる一方、中堅以下のグループはCD売上・ライヴ動員ともに苦戦が続く。〈アイドル戦国時代〉と呼ばれたムーヴメントが曲がり角に来ているのは間違いないだろう。
では、当のアイドルたちはどんな理由やモチヴェーションを持って活動を続けているのか? 今回、話を伺ったのはアップアップガールズ(仮)(以下、アプガ)の関根梓。「イヴェントとかで仲よくなったグループも多いから、解散するって聞くとやっぱり寂しい」としながらも、自身が上を目指して進み続ける(アップアップする)理由を熱く語ってくれた。
「なんで続けているかっていうより、辞める理由が特に見当たらないんですよね。もちろんアイドルって楽しいことばかりじゃなくて、大変なことも多いですよ。これまでだって辞めたいって考えたことはしょっちゅうありましたし。実際、アプガの中では、たぶん私が一番〈辞めたい〉って口にしたメンバーじゃないかな。本気で辞めたいと思うときは、アプガのライヴ映像を観ながら自分の姿だけを手で隠してみるんです。〈私がいなくなったら、こういうふうになるのか〉とか考えながら。
だけど今は、そんな考えはゼロですね。今年に入ってから、ものすごい勢いでアイドル・グループが解散したじゃないですか。解散するグループからは〈あとはアプガに託したよ〉って言われることも多くて。それで考え方が変わった部分はあるかな。あとアプガのメンバー同士、〈私たち、うっかり解散しそびれたよね〉って冗談で話すんです。〈タイミングを逸しちゃったから、今さら解散できないよ〉って(笑)。でも、そんな調子でこの先もずーっと続いていけたらいいなと思います」
現在、アプガは結成8年目に突入。移り変わりの激しいアイドルの世界では、すでに立派なヴェテランと言ってもいい。最年長の古川小夏は26歳、最年少の新井愛瞳も11月19日に21歳になる。
「気づいたら、アイドルとしては結構な年齢になっていますからね。ファンの人からは〈別に彼氏とか作っていいし、結婚だってしてもいい。でも、アイドルだけは続けてほしい〉とか言われるんですよ。私自身は〈ホントかなぁ?〉って若干疑ってしまうんですけど。〈そんなことを言いつつも、いざそうなったら、少なからずショックは受けるんじゃないの?〉って(笑)。小夏ちゃんなんかは、結婚してママになってもアイドルを続けられるイメージがあるんです。というか小夏ちゃんに限らず、5人とも結婚したってアプガを続けていきたいですよ。それが本音です。ただ、〈おばあちゃんになっても続けます〉って散々言っていたPASSPO☆も解散しちゃったからなぁ……」
年齢を重ねることは、アイドルを続けるうえで大きな障壁となる。残念だが、これは事実である。ジャニーズ勢をはじめ男性アイドルの場合、結婚したり、父親になっても活動を続けるケースは多い。しかしキャンディーズの時代から現在に至るまで、現役女性アイドルでそのことに成功した例はない。なぜなのか? これについて関根は、男性アイドルと女性アイドルではファンの求めているものが根本的に違うからだという意見だ。
そんな関根は、最近になって仕事に対する取り組み方がガラリと変わったらしい。以前から歌やダンスに対する意識が高いことで知られているが、ステージに立つことの意味を根本から考えるようになったのだ。
「アイドルって何かというと、結局、歌って踊ってお客さんに喜んでもらうお仕事じゃないですか。だけど、〈果たしてそれだけでいいのかな?〉って考えるようになったんです。つまり、お客さんに喜んでもらえればそれでOKという話ではなくて、もっとパフォーマーとしてしっかり地に足がついた活動をしなきゃダメっていう考えですよね。この先のことを考えると、やっぱりどうしてもそこの部分は避けて通れないと思います。
こういう言い方をすると誤解を生むかもしれないですけど、今はアイドルを〈仕事〉として考えているんです。私たちは全盛期のモーニング娘。とかミニモニ。に憧れてアイドルを始めたメンバーが多いから、どこかでファン感覚というか、趣味の延長みたいな部分があったんですね。〈歌やダンスが好きです〉〈キラキラした先輩たちに憧れています〉みたいな。他の社会人からすると、〈フザけるな!〉っていう話になると思いますけど(苦笑)」
アプガはハロー!プロジェクトの研修機関・ハロプロエッグ(現・ハロプロ研修生)出身のグループだ。芸能キャリアは15年にも及ぶ。
「実際、お客さんからお金をもらっているわけじゃないですか。お金をもらっている以上、それ相応のものを返さないと詐欺みたいなことになりますからね。それはどんな仕事でも同じでしょうけど。そう考えるとステージのクオリティーはもちろんだけど、握手会だってちゃんと責任感を持ってやらないと本当はマズいんです。長いことやっていると握手会をやる意味も見失って、〈何か適当に言葉を2~3個かければいいや〉ってことになりがちなんですけど、私、それってすごく危険な状態だと思うんですね。だってファンの人はお金を払って握手会に参加しているわけだし、下手したらそこに交通費とか宿泊代もプラスされるわけですから。
正確に言うと、エッグの頃から口では言われていたんですよ。〈お客さんに払っていただいたお金以上のものを提供しなさい〉って。だけど、その本当の意味がわかっていなかった。じゃあ具体的にどういうステージがチケット代以上の価値があるかっていうと、ピッチを外してはいけない。ダンスが揃っていなくてはいけない。……そこで意識が止まっていたんですよね。お客さんに歌を届けるとか、自分の歌で感動してもらうとか、そういうところまで考えが追いついていなかった。だからプロとして完全に失格だったと思います。仕事に取り組む姿勢が無責任すぎた。結局は習い事感覚のまま、続けていたんでしょうね」
アイドルに限らず、ミュージシャンを続けるためには様々な困難を乗り越えていく必要がある。なにも売れることだけが絶対的な正義ではない。キャリアが30年や40年を超しても地道に全国のライヴハウスを回り、支持してくれるファンの前で誠実に演奏を繰り返すアーティストだって大勢いる。だが、関根の考えるアプガの将来像はそうではないという。
「細々とでも続けていくっていうのは、本当に尊いことだと私も思います。だけどアプガがそこを目指しているかっていうと、それは少し違うかな。要するに私たち、まだまだ売れたいっていう気持ちが強いんです。全然そこは諦めていませんから。アプガは8年もやっていますけど、そのわりに本当に知名度がないなってしみじみ感じるんです。やっぱり知名度がないと、ライヴの集客って伸びないですしね。たしかにアイドル系のイヴェントとかに出ると、他のアイドルから〈一緒に写真撮ってください〉とか言われるんです。そうすると、少しはアプガも有名になったのかなとは思うけど……。でも、そこで〈まぁこんなものかな〉と思ったら、おしまいですよ。こんなところで満足する気はさらさらないです」
昨年9月、アプガから仙石みなみと佐藤綾乃という人気メンバー2人が卒業した。それによってライヴ動員は一時的に減少したと関根は述懐する。だが残った5人は懸命に新たなグループ像を確立し、ファン層の拡大を目指した。今はセットリストやライヴ構成もメンバー主導で決めているという。
そしてそんなアプガが次に目指すのは、12月27日(木)にZepp Tokyoで行われるライヴ〈アップアップガールズ(仮) Live of All Songs ~立ち続ける事~〉。これは80曲にも及ぶアプガの全楽曲を一挙披露するというすさまじい内容で、3公演で6時間超えが予想されている。
「12月27日は本当に正念場だと思いますよ。アプガというグループにとって、すごく大きな意味を持っているライヴ。もうやるしかないなって気合が入っています。実は私、最初は反対していたんですよ。今の自分たちで埋まるのかっていう不安があったし、なにもそこで全曲ライヴにすることはないとも思ったし。いろんな意味で無謀すぎるんじゃないかって。だけど考えてみたら、そもそもアプガって無謀なことをするグループですからね(笑)」
富士山山頂ライヴ、自衛隊教練体験ライヴ、陸の孤島ライヴ、ホノルル駅伝完走直後ライヴ、MC一切なしのノンストップ・ライヴ……これまでもアプガは前人未到のミッションを数多く乗り越えてきた。そうした〈仕掛け〉はその都度大きな話題を呼び、アプガはいつしかアイドル界で唯一無二の存在になっていく。
「そういったことに対して、一番ブーブー文句を言っていたのは私(笑)。〈歌とダンスがやりたくてアイドルになったのに!〉って気持ちでした。だけど不思議なもので、やらなくなったらなったで寂しくなるんですよ。無茶なことがしたくてウズウズしてくる。アプガってデタラメなことばかり続けて存在価値を示してきたから、急にお行儀がよくなってもなんだか違うなって感じるんです。そういう意味で言うと、12月27日の全曲ライヴは久しぶりに来た〈無謀な挑戦〉なんですよね。私たちらしく、思いきり暴れまくってやろうと思っています。それは12月27日が終わっても変わらないですよ。やっぱりアイドルに元気がないって言われる時代だからこそ、自分たちからどんどん仕掛けていかないとダメだと思うし。私たち、まだまだ落ち着く気なんてないですから」
虎の目を取り戻した5人の少女たち。アプガの闘いは、まだまだ続いていく――。
Live Information
〈アップアップガールズ(仮)Live of All Songs ~立ち続ける事~〉
2018年12月27日(木)東京・Zepp Tokyo
★詳細はこちら
Profile:アップアップガールズ(仮)
織り成すカラフルなボーカルと激しいダンスパフォーマンス、そしてEDMサウンドを軸とした楽曲で人気を集めるアイドルグループ。メンバーは、古川小夏、関根梓、新井愛瞳、佐保明梨、森咲樹。 2011年4月から活動をスタートし、翌年4月にCDデビュー。
2014年、中野サンプラザでの念願の単独ライブのチケットは即日完売。
2015年は47都道府県ツアー、日比谷野外大音楽堂でのライブを開催。 11月には2時間完全NON STOPライブを行った。2016年は、Zeppツアー、陸の孤島秘境ライブ経て、目標に掲げた日本武道館単独公演をインディーズアイドルとして初めて開催。
ホノルル駅伝への参加や富士山山頂ライブなど破天荒な活動も苦ともせず、鍛えられた体で、いつ何時、どんな場所でも熱いライブを繰り広げるLIVEアスリート集団。