(左から)台風クラブ、スカート

ロックンロール・バンドの美学にこだわり続けていた京都の青年と、バンドに憧れながら宅録ポップ・ユニットとして自主制作のアルバムをリリースした東京在住の青年。出会うはずもなかった2人の若者が、やがて自分たちのバンドを通じて巡り合った。台風クラブの石塚淳、そしてスカートの澤部渡。奇しくも台風クラブは素晴らしいファースト・アルバム『初期の台風クラブ』をこの8月にリリースし、スカートはポニーキャニオンから10月にメジャー・デビューを果たすことが発表された。この最高のタイミングで、シンガー・ソングライターとして、バンドマンとして、2人の数年越しの片想いと相思相愛を対談してもらった。

台風クラブ 『初期の台風クラブ』 Mastard(2017)

 

澤部さんは魔法使いの領域

――石塚くんと澤部くんは去年まで直接の接点を持っていなかったわけですけど、実は石塚くんはずいぶん長い間スカートへの片想いを抱えていたそうですね。

石塚淳(台風クラブ)「6、7年越しですね」

――そのきっかけから話しはじめてもらっていいでしょうか?

石塚「2000年代は僕の暗黒時代なんです。マジで何もしてない空白の10年。いまのシーンで何がアツいとか、そういうことをぜんぜん知らずにレコード屋で好きなレコードをひたすら買う、みたいなことをしていたんです。

それがある日、COCONUTS DISK吉祥寺店のブログで、スカートの『エス・オー・エス』(2010年)がリリースされたときの記事を読んだんです。そのときに〈なんかひっかかるな〉と思って通販で買いました。だから僕の『エス・オー・エス』はバッチ付き。いまもそのバッチ、持ってます」

澤部渡(スカート)「わー、嬉しい!」

石塚「その頃、僕が聴いてた音楽って、コードのAからはじまってDに行ってAに戻ってきて、Eに行ってはAやDに戻るという、いわゆる12小節のブルース進行を使っていかにカッコイイかを競うみたいなものばっかりで、なんか閉塞感みたいなものも感じてたんです。

そこに風穴を開けてくれたんが、スカートとココ吉(COCONUTS DISK吉祥寺店)のブログで。もともとココ吉は、ビフォアーズっていう東京のめちゃくちゃ素敵なビート・バンドのCDとかを扱ってたこともあり、2008年くらいから信頼を置いていて、ブログをチェックしてたんです。そこでスカートが紹介されてるのを見て、聴いて、〈うわー!〉ってなったんです」

――そのブログは当時僕も見ていました。“ハル”のMVがあがっていましたね。

石塚「なんで引っかかったのかは自分でもわからないんですよ。ほんまに謎でした。だって、僕はローリング・ストーンズになりたくて20歳くらいからバンドをやってた人でしたから。たぶん、スカートとは縁がないじゃないですか。でも、そのときにスカートを知って、さらにココナッツのブログ経由でミツメやシャムキャッツも知って、(そこには)すげえいい匂いがしたんです(笑)」

澤部「いい匂い(笑)」

スカートの2010年作『エス・オー・エス』収録曲“ハル”

――そのショックが、台風クラブの活動へと結びついたわけですか?

石塚「いまの編成になったのは、2014年の終わりに京都の鴨川でテントを建てて開催するイヴェントに誘ってもらって、そこに出演したときからですね。その直前にバンドから失踪してた山さん(山本啓太)と8年ぶりに再会したこともあり」

澤部「失踪ってびっくりしますけど(笑)」

石塚「20歳くらいの頃に山さんとやってたバンドでは、ローリング・ストーンズをめざしながら土日に駐車場のコンテナの中で練習してたんですよ。いま考えたらめちゃくちゃなシチュエーション(笑)。そんななか山さんは〈俺は映画の世界に行く!〉って言ってバンドをやめて、連絡も付かなくなった。8年ぶりに連絡もらったときに京都の六曜社で会って、それで〈またやろうか〉と。そもそも山さんはベーシストじゃなかったんですけど」

――ドラマーだったんですよね。でも、ドラムはもう伊奈(昌宏)さんがいたんで、ベースに。

石塚「そもそも失踪してる間、山さんはほとんど楽器にも触ってなかったんですけどね」

――『初期の台風クラブ』のインナーに掲載されたライヴ記録を見ると、いまの編成で初のライヴをしたのが、さっき言われた鴨川での年越しイヴェント〈大晦日唄小屋〉なんですよね。『エス・オー・エス』が出たのは2010年の12月で、そのライヴまでの4、5年間もスカートは作品を出し続けていましたけど、それらもぜんぶ聴いていたんですか?

石塚「そうですね。『ストーリー』(2011年)のセカンド・プレス以降のジャケットでは宙を飛んでる物の数が増えていると聞いたので〈どれやろう?〉と思ったりしてました(笑)。〈すげえやり方や、最高や〉って。澤部さんは僕からしたら魔法使い領域の人なんです」

スカートの2011年作『ストーリー』収録曲“ストーリー”のライヴ映像

――そもそも『エス・オー・エス』ってバンド作品というより、かなり宅録の要素が強い作品だったじゃないですか。

石塚「宅録にも憧れていて、SoundCloudにそういう曲をあげてた時期もありました。前に働いてた自転車屋さんでは、音楽をやっているバイトが多くて、そいつらと〈作曲家クラブ〉というのをやっていたんです。テーマに沿って1か月に1回、1曲ずつ作ってくるみたいな会で、そのときは宅録で作業して」

澤部「それは聴いてみたい!」

――実はそこで台風クラブで演奏されている曲の初期ヴァージョンも聴けるんですよね。

石塚「アカウントは残ってるんですよ。僕がログインできなくなってしまって消せずにいて」

 

台風クラブの音楽には「これしかない!」という気持ちになった

――澤部くんは台風クラブをいつどうやって知ったんですか?

澤部「僕もココ吉ですね。2015年の暮れにCD-Rの『ずる休み』が入荷したときに、バンド名もすごく良かったし、早速買ったんです。ただ、僕の悪いクセで、買ったのはいいけど寝かせちゃうんですよ。聴くタイミングを待ってしまうというか。

そのあとに(タカダスマイルとの)スプリットの7インチで“ついのすみか”(2016年7月)が出たときも買って、そのタイミングではすぐに針を落としたんです。そうしたら、もう〈これしかない!〉みたいな気持ちになって、すぐに部屋のクーラーを切って窓を開けました(笑)。〈既視感はあるんだけど新しいな〉と思ったんです。〈一日のうちに何度も聴き返す〉という行為を久々にしました」

2016年に7インチでリリースされた“ついのすみか”。『初期の台風クラブ』には新録ヴァージョンで収録

――まさにCOCONUTS DISKがつないだ縁!

石塚「『ずる休み』はライヴで手売りしていたんですけど、最初にお店に置いてもらうならココ吉だと思って、ダメもとで手紙を書いて一緒に送りました。そしたら店長の矢島さんから〈良かったです。置きます〉と返事が来て」

――しかも、その後、入荷即完売を繰り返すことになったわけだから、びっくりしたでしょ。

石塚「びっくりでした」

――何年も前から台風クラブとスカートが出会う種は撒かれていたという気がしますけど、いよいよ初対面を果たしたのは、去年の〈ボロフェスタ〉で、10月29日でしたね。

石塚「澤部さんは出番がめちゃ夜やったのに、その日のトップバッターの僕らを観に来てくれはって」

澤部「〈どうしても観たい!〉と思ったんです。だから、早い時間の新幹線で向かって、KBSホールの地下の蒸し暑いスペースで観ました。あのときのライヴが本当に良かった! 意外と音源は緻密で、ギターのフレーズとかも細かいんですけど、それをライヴで〈せーの〉でやっても、ダイナミクスが損なわれてなかったんですよ」

台風クラブの2016年のライヴ映像

――石塚くんは、さっきも言っていた12小節のブルースを究めるような曲作りをしていた時代にも、実はひそかにサニーデイ・サービスやオリジナル・ラヴを聴いていたという話を、以前に取材したときに言っていましたよね。その影響も台風クラブの曲には表れています。

石塚「というか、〈そういうのを聴いてなかったら思いつきもせんなあ〉という話です。こっそり聴いては〈なんや、このすごいのは〉と思ってました。隠れてエロ本買う感覚に近かった(笑)」

――買っているところを人には見られたくない、というね(笑)。でも、そういった影響が、もともと好きだった村八分とか古いロックンロールと混ざり合っているのもすごい。

石塚「〈混ざり合ってる〉というか、そこはどうしても捨てきれへんとこなんですよ。単純に音だけで理想を求めるんだったら、そもそも僕がヴォーカルやないほうがいいし、ギターは2本で鍵盤もいたほうがいいんですけど、やっぱりロックンロールを捨てきれてなくて。

というか、スカートが前に昆虫キッズとの対バンで京都METROでやったときのライヴ(2013年1月13日)が僕には衝撃だったんですよ。スカートは〈ロックンロール・バンドやったんや!〉って(笑)」

澤部「えー! それって鍵盤なしの3人でやったときですよね?」

石塚「あのとき、スカートは〈丸腰の3人〉みたいな感じで来てて。澤部さんの弦が途中で切れて、〈僕のギター・ケースのアウト・ポケットに入ってるから、だれか持ってきて〉みたいなことを言ってました。あの編成で、あのスタンスで、最強のポップス鳴らす、みたいな、そういうところにめちゃくちゃヨダレが出ちゃったんですよ」

澤部「懐かしー(笑)!」

――3人編成のスカートが台風クラブにいちばん影響を与えたかもしれないという説は言い得て妙ですね。

澤部「なんなんでしょうね。僕もバンドというものへの憧れはずっとあったと思うんですよ。それを宅録でこじらせて、ゆがんだ愛情がそのまま自分のバンド像になったんじゃないのかな」

 

映画「台風クラブ」を観たときのモヤモヤ感と自分の音楽は繋がっていた

――スカートは意外とバンド感があるし、台風クラブは意外と宅録感がある。そういう振れ幅のなかで両者がクロスしているというのがおもしろいですね。日本語詞へのこだわりという点では、どうですか?

澤部「僕は単純に、自分へのインプットが日本語だったからだと思っています。日本語のほうが圧倒的に自分のやりたいように扱えるから選んだという感じです」

石塚「こだわりというか、普通にラクにやれるのが日本語だというのはあります。高校の頃だと、対バンしてた同級生のバンドとかはメロコアで英語でオリジナルを作ったりしてて〈えー、すごい〉と思ってたけど、僕は英語わかれへんし。

でも、そのバンドが日本語で歌ってた曲がめっちゃ良くて〈オリジナル作ったん?〉って聞いたら、ゴイステのカヴァーやって、〈ああいうメロディーに日本語が乗ったときの破壊力はヤバいな〉と思いました。そういうのもあって、僕がやるなら日本語で歌いたいことを歌い、それがバシッと音符に乗っかってて、カッコイイのがいちばんやなと」

――とは言いつつ、台風クラブの“ずる休み”は、サビに〈プレイン・フッキー、9-5〉っていうカタカナ英語のぶっこみ方が最高ですよね。

澤部「あそこ、すごくいいですよね」

石塚「〈ずる休み〉を英語でググったら、〈playing hooky〉って出てきたんですよ。最初は日本語にしてたんですけど〈これは英語のほうがぜったい良いわ〉と思ったからそうしました。〈日本語にこだわっているからカタカナはコカコーラとかガソリンまでしかダメ〉とか、そういうふうに固執してるのもダサいと思ってて。別に英語のほうがハマるんならワン・フレーズは英語とかでもぜんぜんいいし」

2017年に7インチでリリースされた“ずる休み”。『初期の台風クラブ』には新録ヴァージョンで収録

――台風クラブってバンド名の由来は、相米慎二監督の映画「台風クラブ」(85年)をテレビの深夜放送で偶然観たときの記憶が元にあると、以前に話したときに言っていましたよね。

石塚「これはある意味で失礼な話になっちゃうんですけど、相米監督にすごく思い入れがあったら、むしろバンド名にしてないと思うんです。自分の音楽と直接は関係ないけど、昔なんとなく観たときのモヤモヤ感とかは何か繋がりがあるなと思って付けたのが、この名前なんです」

澤部「あー、わかる。深夜になんとなく観てしまった映画を忘れられなくなるってありますよ。僕は(マーティン・)スコセッシの『アリスの恋』(74年)がそうです」

石塚「スカートがなんでスカートなのかも気になってます」

澤部「僕は、いわゆる女の子的なものへの憧れが強いんですけど、そういう方向に自分が近付いていけば済むという問題ではなく、そうすればするだけむしろ遠ざかると思っていた(笑)。なので、自分のなかの少女性とどう向き合っていくかを考えて名付けた、ということにしてます」

――〈すぐには理解できないけどなぜか心に残るモヤモヤ感〉や〈憧れているのに手が届かない〉とかって音楽を作るうえではかなり重要な動機だし、ある意味で背中合わせな感覚でもありますよね。そういう意味ではスカートと台風クラブはバンド名でも通じ合っていた感じが僕はします。2人は実はほぼ同世代ですしね。

澤部「そうそう、石塚さんは僕のひとつ上なんですよ」

 

心の片隅にずっと澤部さんがおる

――聴いたレコードや育ってきた環境からの影響を発展させていったという意味では、台風クラブは、京都っぽいというか、東京からは出てこないバンドという感じもあるんです。いまの時代に30代前後だと、こういうサウンドに固まる前にもっといろんな影響を受けてしまう傾向も強い。

澤部「そうですよね。初めて聴いたときは〈この人たち若いのか? 若くないのか?〉ということすらわからなかったですからね。それも痛快でした」

石塚「それを皮肉ってアルバム・タイトルを『初期の台風クラブ』にした面はあるかも。シーンとか、どこが地元かとか、そういう波がザーッと引いてしまった30歳手前の男どもが始めたバンドなので、属してるところもなかったし」

澤部「どこにも属していなかったというのはスカートも同じでした。出てきたときは、強いて言えば〈昆虫キッズ一派〉とか。いまは同じ87年生まれのミツメ、トリプルファイヤーと〈インディー三銃士〉と言われてますけど(笑)」

――お互いのバンドで好きな曲は?

石塚「やっぱり最初にブログで知った“ハル”ですね。そこからずっと意識してますし、心の片隅に澤部さんがおるという感じです。『エス・オー・エス』はアルバムを通してほんまにデカかった。めっちゃサクッと終わる曲もあって〈なんでこんなバチーンと最後を切るんや?〉と、その切なさに打ちひしがれて身悶えしてました。僕はほんまにあのアルバムに景色を広げてもらったんです」

スカートの2010年作『エス・オー・エス』収録曲“スウイッチ”

――本人的には、景色を広げるどころか、ひたすらに1人で作ったアルバムだったのにね。

澤部「そうですね。内へ内へと潜っていく作業だったから。いまそうやって言われると嬉しいな」

石塚「自分はめちゃ頑固やし、凝り固まってた20代を過ごしていたから、いきなり誰かからバッとCD渡されたとしたら、ちゃんと聴くかどうかはわからなかったです。でもココ吉を信頼して、ずっとブログを読んでたところに、ある日“ハル”が紹介されて、ちょうど『エス・オー・エス』が出たというタイミングが、僕には完璧だったんです。四方の壁がバーン!とドリフみたいに倒れた(笑)」

――澤部くんは台風クラブではどの曲が好きですか?

澤部「難しい~! “処暑”の4分の4拍子から4分の2拍子に展開する場所があるじゃないですか」

2015年のシングル“処暑”。『初期の台風クラブ』には新録ヴァージョンで収録

石塚「Bメロのとこですか?」

澤部「そう。あれにはやられました! 〈うわー!〉って思いましたね。あと“春は昔”がすごく好きです。そういえばアルバム・ヴァージョンの“42号線”は、YouTubeに上がっていたヴァージョンや、前にライヴで聴いたときとアレンジがぜんぜん違いますよね」

『初期の台風クラブ』収録曲“春は昔”

石塚「あの映像は、かなり初期のやつで、アレンジもテンポもかなり変わってますね。でも根っこは一緒です。元ネタになった曲は16歳くらいで作ってたんですけど、無理矢理でもいいから絶対ファーストには入れたいと思ってました。自分の根っこにあるのがこの曲やし、いじってたら転調とかテンポもいい感じになったんで、これならぜひ聴いてほしいと思って」

澤部「シンプルなコード進行なんだけど、いちいち気が利いてるんですよ。普通のブルースじゃないし……やっぱりひねくれてるんですか?」

石塚「ひねくれてるところはあると思います」

『初期の台風クラブ』収録曲“42号線”のライヴ映像

澤部「そういう根底の部分で、何か近いものを感じてしまうんですよ。それに、いい曲といい歌詞――そのどっちもできているバンドって、実は同世代にはなかなかいないんですよ」

石塚「ありがとうございます。そういう客観性というか、こだわりは僕にもあるし、ポップ職人ってそれをコンスタントに続けることやと思う。澤部さんはマジでポップ職人やと思ってます」

スカートの2016年のシングル“静かな夜がいい”

 

軟派な感じと硬派な感じのミックス具合がかつて聴いたことないくらい絶妙

――いまの台風クラブに至るうえで、突破口になったような存在の曲はあります?

石塚「“飛・び・た・い”や“ダンスフロアのならず者”ですかね。でも、これらは台風クラブをやってなかった頃に、さっきも言った〈作曲家クラブ〉で作った曲なんです。“飛・び・た・い”のときはテーマが〈80sディスコ〉で、そんなん知るか!と思って、勝手なイメージだけで作りました。“ダンスフロアのならず者”は〈“今夜はブギー・バック”みたいな曲〉というテーマを言われて作ったんかな」

――そうなんですか。むしろ“飛・び・た・い”とかは、ロックンロールに凝り固まっていた時期を抜けた最近になってからの曲だと思っていました。

石塚「ある意味、抜けかけていた時期でしたけどね。そもそも〈作曲家クラブをやろう〉って提案したのは俺なんです。ロックンロールにこだわるのもやめたかったし、バンドもやってなかったから」

澤部「“ダンスフロアのならず者”を〈ボロフェスタ〉で初めて聴いたときは、〈“DISCO TO GO”だ!〉と思って、1人でめちゃくちゃ盛り上がったんですよ。小沢健二さんのシングル“ラブリー”のカップリングに入ってる“今夜はブギー・バック”のライヴ・ヴァージョン※のことなんですけど、石塚さんはそれを聴いてはないですか?」

※“今夜はブギー・バック(“DISCO TO GO” LIVE)featuring スチャダラパー”

石塚「聴いてないです。8センチCDですよね?」

澤部「イントロのハミングが、〈見事な引用だ!〉って思うくらい、そのライヴ・ヴァージョンと似ているんですよ」

『初期の台風クラブ』収録曲“ダンスフロアのならず者”のライヴ映像

石塚「〈トゥットゥットゥル、トゥットゥットゥル〉ってやつですか? でも、それは何か別のかたちで知ってたかもしれない。意識はしてたかも」

澤部「台風クラブって、そういう軟派な感じと硬派な感じのミックス具合がかつて聴いたことないくらい絶妙なんですよ」

――“飛・び・た・い”もシュガー・ベイブ的な展開で進んでいくのに、最後は駐車場でゲロを吐くし。

澤部「でも、音的にはその〈ゲロ〉は〈get on〉でもあるという。そういうところが最高なんです」

石塚「僕は曲を書くのがめちゃ遅いんですけど、スリー・コードを捨てて曲を書くようになってから、自由度は上がった気がします」

 

音楽を専業でやれることは、ひとつの理想でもあるし、地獄でもある

――さて、そんなスカートと台風クラブと曽我部恵一さんのスリーマンが、9月2日(土)に、京都の磔磔で行われます。スカートと台風クラブは初の対バンで。

澤部「これは嬉しかったですよ」

石塚「しかも磔磔でやれるなんて、嬉しいです。あそこでスカートや曽我部さんを観られるのはホンマに楽しみ」

――築100年の蔵だっていう建物としての風格もあるんですけど、音がとにかくいいんですよね。

石塚「いろんな友達とも〈あれはハコ自体がアコギの胴体みたいなもんや〉って話になって。それを納得してしまうくらいの音なんですよ」

澤部「まだ行ったことないんで、すごく楽しみです」

『初期の台風クラブ』収録曲“相棒”

――残念ながら京都までは行けないという人も、実は東京でも対バンが決まっているんですよね。スカートのメジャー・デビュー作『20/20』のリリースを記念したツーマン・ツアーの東京公演※における対バンが、なんと台風クラブで。スカートもメジャー・デビューが発表されたときも、ワッとバズりましたよね。

※2017年10月29日(日)に東京・渋谷WWW Xで開催

澤部「ね! 〈どこにいたんだ、きみたち〉って思いました(笑)」

石塚「僕もニュースを見て、びっくりしました」

澤部「うちのドラマー(佐久間裕太)に冗談で〈もっと気合の入ったインディー野郎だと思ってたけどな!〉って言われましたけど(笑)」

石塚「でも、スカートの音楽がもっとマスに広がるって、めっちゃいいことですよ。澤部さんなら、ちゃんとインディペンデントな自分の意志を持ちながらメジャーで活動できそうな気がします」

――2017年は台風クラブの『初期の台風クラブ』が出て、スカートのメジャー・デビュー・アルバム『20/20』も出て、京都と東京で両者の対バン・ライヴがある。何年か後に〈あれはすごい年だった〉って振り返られるような年になるのかも。その未来には、スカートも台風クラブも、いまよりもっと広くて大きな舞台に立っていてほしいし。

石塚「自分の年齢とかは考えてないですけど、〈やれることをやる〉だけの戦いやとは思ってます。いまは、仕事を終わって帰ってきて〈やっとギター弾けたー〉ってなったときに、いきなり(曲のアイデアの)花が咲いたりする。それくらいの感じで作ってるんで、〈おまえ、音楽が食い扶持な〉となったら、めっちゃ萎縮してしまう気がする(笑)。いまのペースで続けていたら、時間はかかっても音楽をやり続けられると思います」

澤部「逆に専業で音楽をやると決めたことに、僕はいま恐怖心がすごくありますよ。楽しいのは楽しいんですけどね。でも、いいものを作るということをずっと考えてなきゃいけないのは、ひとつの理想でもあるし、地獄でもある(笑)」

スカートの2016年作『CALL』収録曲“シリウス”のライヴ映像

――スカートの『エス・オー・エス』にしても、台風クラブにしても、誰にも知られずに自分のやりたいことを淡々と続けていた時間が大事だということでもあると思うんですよ。それがあったからこそ、こうして知り合えた感激もあるわけだし。

石塚「自分みたいな気持ちを抱えている人は日本中にいると思うんです。たまたま僕はこうして知り合えただけで」

澤部「本当に嬉しいな。『初期の台風クラブ』は本当にめちゃめちゃいいアルバムなんで、たくさんの人に聴いてほしいです」

――きっと『初期の台風クラブ』を聴いても、日本のどこかの知らない誰かが冷房を止めて、窓を開けるだろうなと思える。そこが大事なんですよね。

澤部「わー、いいまとめだ(笑)」

――いや、さっき澤部くんが言ったセリフですけどね(笑)

 


LIVE INFORMATION

〈Helga Press Presents Groomy Saturday!〉
2017年9月2日(土)京都 磔磔
出演:スカート/台風クラブ/曽我部恵一
開場/開演:17:00 /18:00
料金:前売り3,500円 当日4,000円
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■台風クラブ
2017年9月9日(土)徳島大学音楽ホール
2017年9月30日 (土)大阪・南堀江ネイブ
2017年10月8日(日)新潟・古町WOODY
2017年10月20日(金)京都 KBSホール
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■スカート
〈スカートメジャー1stアルバム『20/20』発売記念ツアー 20/20 VISIONS TOUR〉
2017年10月21日(土)愛知 TOKUZO
共演:バレーボウイズ
2017年10月29日(日)東京 WWW X
共演:台風クラブ
2017年11月26日(日)札幌 SOUND CRUE
2017年12月1日(金)福岡 INSA
2017年12月3日(日)広島 4.14
2017年12月6日(水)大阪 Shangri-La
2017年12月20日(水)宮城・仙台enn 2nd
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