俺はこの作品をフー・ファイターズ史上最もスケール感のあるサウンドにしたかった
8月に開催された〈SUMMER SONIC 2017〉では初出演にてヘッドライナーを飾り、王者の貫禄を見せつけたフー・ファイターズ。1995年のデビュー以来、アルバム総セールス3,000万枚、グラミー賞11冠を獲得し、名実ともに現代最強のロック・アイコンと言える彼らが、通算9枚目となるニュー・アルバム『コンクリート・アンド・ゴールド』を発表した。
本作では、前2作を手掛けたブッチ・ヴィグに変わり、アデルやシーア等を手掛けたグレッグ・カ―スティンを初めてプロデュ-サーに起用したことが大きなトピックだ。自身のユニット、ザ・バード&ザ・ビーでの活動でも知られ、稀代のメロディー・メーカーとして注目を集めるグレッグは、いま最も勢いに乗っているプロデューサーの一人。彼を起用した理由について、デイヴ・グロール(Vo, Gt.)はこう語る。
「俺はこの作品をフー・ファイターズ史上最もスケール感のあるサウンドにしたかった。グレッグのメロディー・センスとアレンジ力が生きた巨大なロック・アルバムで、モーターヘッドが作った『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』的な作品を作りたかったんだ」
ビートルズのキャリアにおける転機となった作品『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』を引き合いに出していることからも分かる通り、本作で彼らは、これまでの作品とは異なる境地に足を踏み入れている。
フー・ファイターズの音楽性は、デビュー以来衰えることなくパンキッシュな爆発力と王道ハードロックのダイナミズムに貫かれており、アルバムに先駆けて公開された“ラン”は、まさしくそんな彼らを象徴する破壊力抜群の一曲だ。だが今回のアルバムでは、実機的な試みが数多く見られ、これまでに無かったタイプの楽曲も数多く収録されている。
後期ビートルズを彷彿させるストリングスをフィーチャーした”ザ・スカイ・イズ・ア・ネイバーフッド”や、同じくビートルズ色の強い”ハッピー・エヴァー・アフター(ゼロ・アワー)”、ボサノヴァ調で始まる“ダーティ・ウォーター”など、バラエティに富んだ曲が並んでおり、音楽性の拡がりを感じさせる。なお、今作からバンドはキーボードのラミ・ジャフィーを正式メンバーに迎えて6人編成となっており、メロトロンなど様々な楽器を駆使して新たな音色を持ちこんだラミの貢献も非常に大きい。
後年、彼らのキャリアを振り返った時にターニング・ポイントとして語られることになるかもしれない本作。アルバム・タイトルは、ラストを飾る楽曲“コンクリート・アンド・ゴールド”に由来しているという。その曲の歌詞はこう綴られている。
〈俺には黄金でできたエンジンがある/実に美しいものさ/世界が知ることは決してないだろうけど/その根は思っているよりずっと強くて/コンクリートを突き破って伸びていくんだ〉
現代を生きる人々へ希望を与える歌詞であると同時に、彼ら自身の強い意志を示しているようにも感じられる。ロック・シーンの頂点を極めながらも、フー・ファイターズというバンドの〈根〉はさらにその先を目指し、どこまでも伸び続けて行くのだろう。
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