QUEENS OF POP
[ 緊急ワイド ]ポップの淑女たち
メインストリームの女王たちが動きはじめた。さまざまな状況の変化を超えて獲得した表現は、宝石よりも輝いている……

★Pt.1 FERGIE『Double Dutchess』
★Pt.2 KELLY CLARKSON『Meaning Of Life』
★Pt.3 P!NK『Beautiful Trauma』

 


 

MILEY CYRUS
改心した〈アメリカの愛娘〉が新作に投影した現在の自分自身

 いま改めて思い出してもブッ飛んでいたマイリー・サイラス。本人いわく本当にブッ飛んでいたそうなので仕方がないとして……数年前の突飛すぎるバンガーぶりが記憶に焼き付いている人からすれば、〈あのマイリーがルーツ回帰した〉と言われてもジェシカ・シンプソンのエロ路線を思い出してしまうかもしれません。しかしながら、一瞬でもそう思ってしまったのが申し訳ないほど、久々のフィジカル新作として登場した『Younger Now』は本当に素晴らしかった!

MILEY CYRUS Younger Now RCA/ソニー(2017)

 カントリーやフォーク、50s風のオールディーズなど懐かしさが逆にフレッシュに思える今回のアルバムは、全曲をマイリー自身が作詞し、オレン・ヨエルと共同で作曲やプロデュースにも深く関わるなど、これまでの作品と比べれば格段に自身の思いや願望が投影された、本人が言うところの〈最愛のアルバム〉となりました。生来の親しみやすさもプラスに作用し、簡素なバッキングを従えることでマイリー固有のややアクの強い歌唱が哀愁を湛えて素朴に響くようになったのは収穫。前作への拒否反応が総じて強かったメディアもすでに今作は激賞しているそうですからわかりやすいです。なおかつ、名付け親でもあるというドリー・パートンとのデュエットも強力!