実演では何度か披露されている 《冬の旅》ですが、ここで満を持しての新録音。波多野さんの歌唱は、聴き手に距離感をとても近く思わせてくれるところがあります。それは温かみのある優しい色合いの声の魅力にもあるのでしょうが、何と言ってもこの方には「語るように歌う」という表現がぴったり。淡々としている様でいながら深く歌いこむ表現力と、時にシャープな主張性を感じる高橋さんとの顔合わせはパリッとした緊張感を醸し出し、凍てつくような情景が迫ります。共に唯一無二の存在といえる活躍を続けていらっしゃるお二人ならではの得難い演奏です。高橋さんご自身による対訳つき。