本書は2015年に刊行された原書に2017年9月3日のウォルター・ベッカー訃報をうけての補遺を加筆したものであり、スティーリー・ダンの結成前から現在に至るまでを網羅したバイオグラフィーである。とにかく情報量、登場人物の多さはズバ抜けており、そのすべてを把握しつつ読破しようとすれば、数か月はかかるだろう。本書に接して、彼らのアルバムやソロ・アルバム以外の関連する音源の多さに改めて気付かされるとともに、彼らの人柄をより深く理解できる。シニカルでアイロニーと知性に富み、ピュア過ぎた人達…。これから先のドナルド・フェイゲンの活動を理解する上でもきっと役に立つだろう。ファン必携の1冊である。