ミュージカル俳優のマシュー・モリソンが2018年2月26日(月)にBillboard Live OSAKAにて、27日(火)にBillboard Live TOKYOにて来日公演をおこなう。ブロードウェイ・ミュージカル、ドラマ、映画の世界では俳優として、そして音楽の世界では歌手としてまさに八面六臂の活躍を見せるモリソンだが、日本でのソロ・コンサートは今回が初。客席にほど近いステージで彼のパフォーマンスを堪能できるBillboard Liveでの公演は見逃せないだろう。
もはや〈アメリカを代表する〉と言っても過言ではないほどの活躍を見せるマシュー・モリソン。ファンには周知のこととはいえ、本稿では彼の輝かしきキャリアを、特に音楽活動の面からいま一度振り返りつつ、待望の初単独公演に備えたい。
マシュー・モリソンは78年、カリフォルニア州フォートオード出身。同州チコで育ち、オレンジ・カウンティーの芸術高校からニューヨーク大学へと進学。大学は2年で中退して「フットルース」へ出演、ブロードウェイ・デビューを飾ることとなる。その後、「ロッキー・ホラー・ショー」への出演を経て、ミュージカル版「ヘアスプレー」のリンク・ラーキン役で2002年にブレイク。「ヘアスプレー」のオリジナル・キャストとして、そして2005年の「The Light In The Piazza」のキャストとしてモリソンはトニー賞にノミネートされ、ミュージカル俳優としての評価を決定的なものにする。
「ヘアスプレー」でのブレイク前、2001年にはアイドル系のボーイズ・バンド、LMNT(エレメント)に一時的に加入していたようだが、本人にとってそれは「人生最悪の時だった」ということなので、ここではあまり触れないこととしよう。
ドラマデスク賞へノミネートされるなど、ミュージカル俳優としての実力を広く知らしめていったモリソン。それと並行して、2000年代後半は「CSI:マイアミ」「LAW & ORDER:犯罪心理捜査班」「ゴースト 〜天国からのささやき」「NUMBERS 天才数学者の事件ファイル」など、CBS系を中心にテレビドラマや映画の世界でも活躍しはじめる。
マシュー・モリソンの名をここ日本においても知らしめたのは、言わずもがな、フォックスのミュージカル・コメディー・ドラマ「glee/グリー」でのウィル・シュースター役だろう(ちなみに、監督のライアン・マーフィーはブロードウェイを3か月間視察してモリソンをキャスティングしたとのこと!)。2009年から2015年まで6シーズンにわたって放送された同作においてグリークラブ〈ニュー・ディレクションズ!〉の顧問シュー先生としてメイン・キャストを演じたモリソンは、確かな演技力と歌唱力で一躍人気俳優に。同作ではゴールデングローブ賞やエミー賞にもノミネートされるなど、その人気と評価は不動のものとなった。
そんなマシュー・モリソンはミュージシャンとしても作品をいくつか発表している。デビュー作は、マーキュリーからリリースされた『Matthew Morrison』(2011年)。ウクレレの響きが軽快なリード・シングル“Summer Rain”では作曲家としても名を連ねており、モリソンの新たな才能が、そして音楽へとかける情熱が感じられる。
また、同作にはエルトン・ジョン、スティング、グウィネス・パルトローを招いたゴージャスなデュエット・ソングも収録。周囲のミュージシャンからの〈音楽家マシュー・モリソン〉に対する愛と信頼を感じるアルバムだ。
“雨に唄えば(Singin' In The Rain)”で幕を開ける2013年の2作目『Where It All Began』は、ポップ・ロック風だった前作から転じて、40~50年代のポップスやジャズ・スタンダードを中心とした作品。ヴォーカルを彩るバンドの演奏やアレンジも、これでもかというほど真っ向からジャズ。「自分自身のルーツへと立ち返ることを楽しんだ」という同作だが、ジャズ・スタンダードの多くが元を辿ればミュージカル・ナンバー=ショー・チューンだということを思えば、その音楽性や選曲は〈ミュージカル俳優マシュー・モリソン〉にとって自然なものだったに違いない。
ビリー・ホリデイやレイ・チャールズらの歌唱で知られる“降っても晴れても(Come Rain Or Come Shine)”、ご存知デューク・エリントンの“スウィングしなけりゃ意味がない(It Don't Mean A Thing)”、スモーキー・ロビンソンとのデュエットを聴かせるファンキーな“Ease On Down The Road”、アップテンポなアレンジで聴かせる「マイ・フェア・レディ」の“君の住む街角(On The Street Where You Live)”、ラストを飾る「ウエスト・サイド物語」メドレー……アメリカン・ポップスとミュージカルの古典へと挑み、〈すべてはここから始まった〉と題されたアルバムはまさに〈音楽家マシュー・モリソン〉の面目躍如だろう。
また、このアルバムがマルーン5のアダム・レヴィーンのレーベル222からのリリースということも見逃せない。その事実からは、前作の豪華なゲスト陣の並びと同様に、彼の歌声や音楽家としての姿勢がミュージシャンから愛されていることがわかるはず。
『Where It All Began』と同路線のクリスマスEP『A Classic Christmas』(配信のみ)もファンにとっては聴き逃せない。タイトル通りのクリスマス・ソング・カヴァー集で、6曲入りの小品だが、ワシントン・ナショナル交響楽団が奏でるゴージャス極まりないサウンドと古典を伸びやかに歌うモリソンの歌声は実に良い。
今回の来日公演も、おそらく『Where It All Began』の路線でブロードウェイの名曲たちやジャズ・スタンダードが演奏されるだろう。また一方で、自身の出世作となった「へアスプレー」からの楽曲や「glee/グリー」のヒット・ソング“Sway”(も、もともとはラテン音楽のスタンダード“キエン・セラ”だ)も披露する、キャリア横断的なライヴにもなるはず。「glee/グリー」ファンにとってはポリスの“高校教師(Don't Stand So Close To Me)”やカニエ・ウェストの“Gold Digger”といった劇中曲の歌唱、モリソンお得意のビートルズの“Let It Be”“Hey Jude”のカヴァー・メドレーもぜひ期待したところだ。
さらに、今回の公演でモリソンは「日本の文化を少し取り入れた内容にしたい。日本語の歌も披露するかもしれない」とのこと! 日本好きをアピールする彼がこの国のファンに向けてどんな歌を披露するのか、いまから楽しみにしたい。
LIVE INFORMATION
An Evening with マシュー・モリソン ~Live at Billboard Live TOKYO & OSAKA~
2018年2月26日(月)Billboard Live OSAKA
1stステージ 開場17:30/開演18:30
2ndステージ 開場20:30/開演21:30
サービスエリア 12,000円/カジュアルエリア 11,000円(※カジュアルのみ1ドリンク付)
★詳細はこちら
2018年2月27日(火)Billboard Live TOKYO
1stステージ 開場17:30/開演18:30
2ndステージ 開場20:30/開演21:30
サービスエリア 12,000円/カジュアルエリア 10,500円(※カジュアルのみ1ドリンク付)
★詳細はこちら
■バンド・メンバー
マシュー・モリソン(ヴォーカル)
下野ヒトシ (ベース)
宮崎隆睦 (サックス)
from Teatro Raffinato
増崎孝司(ギター)
小笠原拓海(ドラムス)
石井真(トランペット)
東條あづさ(トロンボーン)
有坂美香(バックグラウンド・ヴォーカルズ)
オリビア・バーレル(バックグラウンド・ヴォーカルズ)