DOG YEAR OF RAP
[ 特集 ]日本語ラップの2017→2018年
何か月かに1回特集してる気もするけど、日本のヒップホップはやはりおもしろい! 他の音楽よりも速いスピードで変わっていく状況をまったり追っていきましょう

 


個々の動きが目覚ましかったKANDYTOWN

 

 よく考えると2016年もKANDYTOWNメンバーのアクションが活発だったように記憶しているが、それでも2017年の動きがより華やかなものに思えたのだとしたら、メジャー・デビュー・アルバム『KANDYTOWN』を経たことでグループの全体像がいったん明快なコアに集約されて見えたからだろう。そんなわけで2017年のメンバーたちは個々の目覚ましい活躍と共に一年を駆け抜けた。まず、IOはちょうど1年ぶりとなるセカンド・アルバム『Mood Blue』を発表し、よりロマンティックな世界を追求。DONY JOINTのソロ・デビュー作『A 03 Tale,¥ella』はMUROやKASHI DA HANDSOMEも交えたファンキーな作りで、BANKROLLでの“B Right”も披露された。

 特に評判が良かったのはNeetzが全曲を手掛けたMUDのソロ・デビュー作『Make U Dirty』で、男気のあるフロウも相まって全編が激しくソウルフル、Gファンクの“Dallaz”にグッとくる人も多かったはずだ。そして、バンドのAun beatzでもEPを出したRyohuは、生音使いにこだわった初の一般流通作『blur』をリリース。ペトロールズのトリビュート参加やMELRAWとのコラボも経験している。さらにMASATOとMinnesotahがアトランティック音源を用いたミックスCDを出したのも、彼らの音世界に対する支持の表れと言えるだろう。

 一方でソロ作のなかったYOUNG JUJUは、tofubeats“LONELY NIGHTS”やAwich“Remember”という決定的な客演を連発。IOとJUJUのコンビはMonster Rionや清水翔太と共演し、IOとGOTTZとMUDはDJ PMXと組むなど、各人が活躍の場を広げることでクルーの威信を増した一年だったと言えそうだ。なお、JUJUは今年に入ってからソニーと契約し、KEIJU as YOUNG JUJUに改名。また、MIKIも年末にbpm tokyoから配信シングル“Oversea”を発表していて、2018年も彼らは多様な動きで楽しませてくれそうだ。 *出嶌孝次