スフィアン・スティーヴンスが第90回アカデミー賞授賞式にて、映画「君の名前で僕を呼んで」に提供した楽曲“Mystery Of Love”を演奏しました。
スフィアンと共に同曲をステージで演奏したのは、NYのインディー・クイーン=セイント・ヴィンセント、昨年のデビュー作『Aromanticism』が賞賛を呼んだモーゼス・サムニー、パンチ・ブラザーズのメンバーでもあるマンドリン奏者=クリス・シーリ、スフィアンの作品の多くに参加しているケイシー・フォウバートとジェイムズ・マクアリスターの5人。大舞台とはどこか不釣り合いなシンプルなラヴソングを歌うスフィアン、そして虚飾のない繊細な演奏をするバンド・メンバーのパフォーマンスは実に感動的です(その模様はファンによってYouTubeにアップされているのでぜひ〈sufjan stevens oscar〉などの検索ワードで探してみてください、とこっそり言っておきます)。
歌曲賞にノミネートされていた“Mystery Of Love”でしたが、惜しくも受賞はならず。受賞したのは「リメンバー・ミー」の主題歌“Remember Me”で、同曲はガエル・ガルシア・ベルナル、ミゲル、ナタリア・ラフォルカデの3人によって披露されました。他にもメアリーJ・ブライジ(「マッドバウンド 哀しき友情」)、コモンとアンドラ・デイ(「マーシャル 法廷を変えた男」)、そしていま話題のミュージカル映画「グレイテスト・ショーマン」のキアラ・セトルがそれぞれ主題歌を歌唱。錚々たるポップ・スターたちとは対照的にデリケートな“Mystery Of Love”を切々と歌い上げるスフィアンの姿は、アメリカを代表するインディー・ヒーローとしての面目躍如でしょう。
そんなスフィアンの楽曲を劇中、印象的に使用した「君の名前で僕を呼んで」は脚色賞を受賞。89歳のジェームズ・アイヴォリーが史上最年長での受賞となりました(映画監督として知られるアイヴォリーの代表作「モーリス」は、ライターの木津毅さんにいわく〈20世紀の腐女子は全員観ていた映画〉とのこと)。筆者は公開に先駆けて「君の名前で僕を呼んで」を鑑賞させてもらいましたが、ティモシー・シャラメとアーミー・ハマーという主演2人の演技、アイヴォリーの脚本、そしてアピチャッポン・ウィーラセタクンの作品で知られるシネマトグラファーのサヨムプー・ムックディプロームの撮影が見事に組み合わさった力強い傑作で、いたく感動しました。
「君の名前で僕を呼んで」は4月27日(金)からTOHOシネマズシャンテ他にて全国ロードショー、『「君の名前で僕を呼んで」 オリジナル・サウンドトラック』は3月21日(水)にリリースとなります。