初作『Aquarius』(2014年)のリリース後に次作として表題だけは明かされていたものの、延期を繰り返すうちに『Nightride』(配信のみ)が世に出され、結果的にサード・アルバム扱いとなった新作。以前からの縁となるスターゲイトらを除いて制作陣はほぼ一新され、ミーゴスのオフセットを迎えた幻惑トラップの先行ヒット“No Drama”やフレンチ・モンタナ&タイ・ダラー・サインと心地良いアイランド作法で絡む“Me So Bad”など今風の歩幅を弁えたポップな好曲が並ぶ。影のある浮遊モードも、フューチャーやリトル・ドラゴンとのコラボも総じてソツのない出来だが、それよりも鮮やかに耳残りするのは、快い加減速を伴ったサウンズ製の“No Contest”やアトランタ・ベース調に仕立てられたシングル“Superlove”(日本盤ボートラに収録)の素晴らしいフィット感。そうしたジャネット~シアラ系の路線が本来の資質にも志向にも適合しているように感じられつつ、ポテンシャルの高さで完成度を引き上げたような余裕の佳作。