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『Dirty Computer』に至るまでの音楽活動を振り返っておこう!

 フル・アルバムとしては2枚目となる『The Electric Lady』(2013年)のリリース以降にインテリジェントな独自のポジションを盤石にし、女優としての飛躍も手伝って何となくご無沙汰になりつつあった彼女の音楽ワークス。とはいえ、思い返してみるといろいろ出てたんですね。ここ数年分をザックリ振り返ってまとめておくと、まず、2015年ではインターネットの“Gabby”が思い出されるところでしょう。同年のコラボではドニー・トランペット&ザ・ソーシャル・エクスペリメントの“Slip Side”もあって、オルタナティヴなR&Bの行き方指南に彼女の存在が非常にキャッチーだったことがよくわかります。ただ、同じ年にはグライムス『Art Angels』で“Venus Fly”に客演し、さらにはデュラン・デュランの“Pressure Off”にナイル・ロジャーズと並んで参加するなど、振り幅はなかなかに両極端と言えるでしょう。そのまま2015年にはジーズィの“Sweet Life”で歌ってもいて、これもアトランタのコネクションを活かした好演となっていました。

 そうやって歌だけでも絵になる彼女が、自身も出演した映画「ドリーム」のサントラ『Hidden Figures』(2016年)では、ファレルの制作した“Isn't This The World”と“Jalapeno”にてパフォーム。ファレルとデュエットした後者も持ち味の活きたキャッチーな仕上がりでした。で、2015年にレーベルとしてエピックと契約した自身のレーベル=ワンダランドからはまずコンピの『Wondaland Presents The Eephus』を出し、そこからジデンナが昨年アルバム『The Chief』(彼女は“Safari”に客演)のリリースに漕ぎ着けたばかり。コンピでは『Dirty Computer』でも活躍しているはずのディープ・コットンやロマン・グランアーサーが腕を揮っているので注意が必要ですし、『The Chief』も歌とラップの溶け合った個性的な力作なので、併せてぜひチェックを!

 

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