赤から青へ……ジャックのセルフ・プロジェクトを振り返ってみる
ジャックにとっての赤の時代――97年に姉(という設定)のメグ・ホワイトと結成したのがホワイト・ストライプス。ジャックが歌とギター、メグがドラムスという最小の編成で、ハード・ロックにも繋がる粗削りなラウド・ブルースを聴かせた2人は、3作目『White Blood Cells』(2001年)の頃から、折からのガレージ・ロック・リヴァイヴァルの流れにも乗って人気を急速に拡大。続く『Elephant』(2003年)は“Seven Nation Army”も生んだ傑作で、この頃にジャックの若きリヴァイヴァリストというポジションは確たるものとなった。バンドはそのまま『Get Behind Me Satan』(2005年)を発表、そこに収録された“Blue Orchid”のPV撮影で出会ったジャックとカレン・エルソンとは、1か月後に結婚。同年にはデトロイトの旧友ブレンダン・ベンソンやジャック・ローレンスらとラカンターズを結成しており、いわば公私共に大きな転機が訪れたわけだ。
ツイン・ヴォーカルのラカンターズは友人同士が再会して楽しむニュアンスが強く、大きくなったホワイト・ストライプスの反動でもあったのだろう。一方では音楽的な野心を満たそうとするように、2009年にはアリソン・モシャート(キルズ)をヴォーカルに据え、ディーン・フェティータ(クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ)、ローレンスと新たにデッド・ウェザーを始動。スーパーバンド的な顔合わせに終わらず、過去の2バンドとはまた異なるゴシックなサイケ感を持ち味としている。そして2011年にはホワイト・ストライプスが公式に解散を発表、翌年のソロ・デビュー作『Blunderbuss』からジャックは青の時代へと突入していくのだった。
▼関連作品
左から、ホワイト・ストライプスの2003年作『Elephant』、同2005年作『Get Behind Me Satan』(共にXL)、ラカンターズの2006年作『Broken Boy Soldiers』(Third Man/XL)、ホワイト・ストライプスの2007年作『Icky Thump』(XL)、ラカンターズの2008年作『Consolers Of The Lonely』(Third Man/Warner Bros.)、デッド・ウェザーの2010年作『Horehound』(Third Man/Columbia)、デッド・ウェザーの2011年作『Sea Of Cowards』(Third Man/Warner Bros.)、ジャック・ホワイトの2012年作『Blunderbuss』(Third Man/XL)
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