〈簡単には作れない何かを作るのがとにかく好き〉な男、ルイス・コール
「子供の頃はテレビ・ゲームばかりしていた(笑)。スーファミ(スーパーファミコン)のゲームの音楽って、めちゃくちゃカッコイイんだよ。〈マリオカート〉や〈スターフォックス〉の音楽からは、けっこう影響を受けてる。あとは、両親や友人たちが聴いていた音楽だね。それと、昔は音楽以外の変なものを作ることにハマっていたんだ。普通ではない、簡単には作れない何かを作るってことがとにかく好きだった。それはいまに通じるものがあると思うね」
そんな本人の発言を裏付けるように、ルイス・コールの最新ソロ・アルバム『Time』のオープニング・チューン“Weird Part Of The Night”は、スーファミの低ビット音源を模したような歪んだシンセ音から始まる……なんて書くと、彼の音楽を聴いたことがない音楽ファンは〈ああ、チップチューン系ミュージシャンなんだ〉と思うかもしれない。
でも冒頭の発言のキモは「普通ではない、簡単には作れない何かを作るってことがとにかく好き」のほうにある。というのも、この曲では、ドラムスが正確無比だけど生身の人間にしか生み出せないグルーヴを湛えたビートを刻みだし、マイケル・ジャクソンのようなパーカッシヴな高音ヴォーカルが午前3時から6時までハイウェイをぶっ飛ばす男の心情を歌いだすのだから。しかも驚いたことに、そのすべてがコール本人によるものなのだ!