Mikiki編集部の4名(田中亮太、高見香那、酒井優考、天野龍太郎)が〈今週必聴な邦楽ソング〉をオススメする連載がスタートしました! 更新は毎週火曜(歌謡)日。基本はNEWな楽曲を紹介していきますが、時には新着モノに限らず個人的ブームな楽曲も紹介していくかも、というユルいスタンスでやっていく予定です。毎週チェックしてもらえると思いがけない出会いがあるかもしれません! *Mikiki編集部

 


【田中亮太】

アナ “必要になったら電話をかけて 2019ver”

デュア・リパは元カレからの電話には絶対に出るなと言ったけれど、アナは元カノからの電話を待っている。しかも、〈必要になったら〉なんて逃げ道を作って。2019年も変わら(れ)ない、ひとりよがりのボーイズ・テンダネス。それって何か悪い?

 

Pale Fruit “Pink”

Crispy Camera Clubのギタリストにして元・花泥棒/Oliverの稲本裕太がソロでの新曲を公開。もともと彼の楽曲を女性が歌うというコンセプトのようで、この曲も後日、別ヴォーカル版を発表するみたいですが、こちらは本人による歌唱。高めに設定したキーで歌うことで、甘さが増し増し。桃色のYOP(ヤング・オリエンテッド・ポップ)です。

 

【高見香那】

LISACHRIS “サワゴゼ feat.5lack”

去年の『ARIAKE』&その再構築盤『ARIAGAIN』に続く、OIL WORKSからのこのファースト・アルバム『Akasaka』、楽しみにしてました。不穏で無機質なトラックの上で5lackとラップするこの曲、セクシーでスーパーかっこいいです。オイルさんのリミックスもあるよ

 

CHILI x STEEEZO + BIG BEN (stillichimiya) starring Olga Akhunova “CHIC CITY”

〈ぽちゃん、ぽちゃん、坊っちゃん……〉〈どうして痛むのこめかみ……〉〈たまには脂っこくファミチキ……(“いったりきたりBLUES”?)〉。ラッパーのCHILIとトラックメイカーSTEEEZOのタッグに、BIG BEN(stillichimiya)がジョインしたなんともドラッギーな一曲。蜃気楼みたいな、粋な映像はやっぱりスタジオ石・Mr.麿。

 

【酒井優考】

赤い公園 “Highway Cabriolet”

またお前赤い公園かよ。例えば8分弾きベースが最初スタッカートなのにアウトロではテヌートで、車内の緊張感とそこからの解放感を表現してるんじゃ……的な深読みを歌詞や全パートからしてます。いくらでも語れる。

 

あゆ巫女 “pray”

あゆ巫女はキュートでウィスパーでちょっとエッチで最高なんですが、新曲“pray”は歌詞もぶっ飛んでるしこんなフロウもできるんだって驚きました。ぜひ彼女のTwitterで動画を。最近こんな気持ちの毎日でした。

 

【天野龍太郎】

田島ハルコ “¥70 rings”

田島ハルコによるアリアナ・グランデ“7 rings”の日本語カヴァー(?)もといアンサー・ソング。原曲はアリの金持ち自慢な歌詞だけど、田島版は〈飲み過ぎて小銭しかない〉という内容。クラブ帰りや一晩中飲み明かした後の朦朧とした感じと謎のノリ、金欠の悲しみを見事に表現していて、つい〈日高屋 松屋 吉野家 なか卯 すき家で朝ごはん〉と歌いたくなってしまう。

 

Kan Sano “Sit At The Piano”

新作を制作中だというKan Sanoの新曲。曲名のとおりにピアノが主役。でもそこはKan Sano。弾き倒すわけではなくて、繊細なリズム感で詩的に奏でる。ピアノという楽器の演奏において、いかにリズム感、グルーヴが重要かを静かに主張する一曲。

 

玉名ラーメン “Raisins”

先日リリースされたEP『空気』から、“Raisins”のミュージック・ビデオが公開に。空気のように漂うビートとアンビエンス。そこに乗る、ほとんどポエトリー・リーディングのようなラップ。ラップというスタイルはどんな感情でも表現できるんだと言っているかのような自由さ。〈いくつもの今が重なって すれちがってあの歌が聴こえる〉というリリックにハッとさせられる。

 

Gimgigam “Caribbean (feat. 遠野朝海)”

GimgigamがLocal Visionsからリリースした新作『The Trip』より。どの曲も最高だけれど、この“Caribbean”は遠野朝海のウィスパー・ヴォイスが印象的。〈カリビアン〉というよりはアフリカ的なビート、ペダル・スティールの音色、そして遠野の歌とのアンバランス感がヴァーチャルな南国を幻視させる。アルバムでは“Daydream (feat. yosoji)”も素晴らしい。