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来日公演では鍵盤奏者、ボビー・スパークスに注目

さて、前述のようにライヴ・バンドとしての評価が高いスナーキー・パピーだが、その凄さはどのメンバーが参加してもスナーキー・パピーとしての音楽を失わず、それでいてそれぞれの良さも全面に出てくるところだ。特にキーボードはビル・ローレンス、ショウン・マーティン、ジャスティン・スタントンら豪華な陣容が揃っており、ライヴのたびに異なるメンバーの組み合わせで観ることができるのも魅力のひとつ。そして同じ曲を同じメンバーで演奏していても、各自がいつもとは異なる役割を果たしていることもあるのでライヴ時の観どころは尽きることがない。

〈World Tour 2019〉の来日での注目はボビー・スパークスだ。テキサス生まれ教会育ちのこの鍵盤奏者は、ロイ・ハーグローヴのRHファクターでも同僚だったジェイソン・トーマスと共に2017年にも来日しているが、前回よりもファンク色が強くなった『Immigrance』の楽曲ではボビー・スパークスの良さがより活きてくるだろう。特に『Immigrance』はスタジオ録音作品として高い完成度を誇っているだけに、生演奏一発勝負となるライヴの場でどう展開していくか、今から楽しみでならない。

ボビー・スパークスの2018年のスタジオ・ライヴ。演奏しているのは故ロイ・ハーグローヴも参加している2019年作『Schizophrenia: The Yang Project』収録曲“Take It!”

 

多様性の象徴としてのスナーキー・パピー

最後に、『Immigrance』というタイトルは〈すべては流動的で、常に動き続けている。人は誰しも移民の状態にある〉という意味だとマイケル・リーグは語っている。『Culcha Vulcha』が西洋消費社会へのアンチテーゼだったように、政治的メッセージを掲げることをためらわない姿勢は潔く、また彼らだからこその説得力を持っている。その存在自体が多様性を象徴しているようなスナーキー・パピーの音楽が多くの人々からの支持を受け、いまの時代に輝きを増しているのは大きな希望の光だと言えるだろう。

 


LIVE INFORMATION
SNARKY PUPPY “World Tour 2019”

2019年4月11日(木)大阪・梅田 CLUB QUATTRO
開場/開演:18:30/19:30

2019年4月12日(金)神奈川・川崎 クラブチッタ
開場/開演:18:30/19:30

■来日メンバー
マイケル・リーグ(ベース/キーボード)
ジャスティン・スタントン(トランペット/キーボード)
マイク “Maz” マーハー(トランペット/フリューゲルホーン)
クリス・ブロック(サックス)
ショーン・マーティン(キーボード)
ボビー・スパークス(キーボード/オルガン)
ボブ・ランゼッティ(ギター)
ジェイソン “JT” トーマス(ドラムス)
小川慶太(パーカッション) 
http://www.bluenote.co.jp/jp/event/snarkypuppy-jpntour-2019/