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NIGEL HALL Ladies & Gentlemen Round Hill(2015)

レタスのメンバーでもあるワシントンDC出身の鍵盤奏者/シンガーは2013年からNOLAに拠点を移している。この初リーダー作ではレタス一派やクエストラヴのほかアイヴァン・ネヴィルも招き、ミーターズに通じるグルーヴィーな人力演奏でアン・ピーブルズやラティモアらの名曲をカヴァー。新作発表の噂も。

 

GEORGE BENSON Walking To New Orleans Provogue(2019)

故ファッツ・ドミノに捧げる作品は地元鍵盤奏者のダヴェル・クロフォードも出したばかりだが、この名ギタリスト兼シンガーもチャック・ベリー追悼と同時にNOLA音楽全体に愛を込めて巨星をトリビュート。“Ain't That A Shame”などのNOLAクラシックを朗々と歌うベンソンからは故人の笑顔が浮かんでくる。

 

SOLANGE A Seat At The Table Saint/Columbia/ソニー(2016)

姉同様ルイジアナ・クレオールの血を引くソランジュは現在、NOLAの住人である。ひとつ前の本アルバムはNOLAでも録音され、US産R&Bに縛られない越境ぶり自体がかの地らしいが、そうした中でのリル・ウェインやマスターPの起用、“F.U.B.U”でのブラスバンド・アプローチは自然なことだったのだろう。

 

TROMBONE SHORTY Parking Lot Symphony Blue Note/ユニバーサル(2017)

ドラマ「Treme」にも出演した現NOLAのトップ・ブラス奏者による最新作。ミーターズ“It Ain't No Use”やアーニー・K・ドー“Here Come The Girls”のカヴァーでNOLAファンクの歴史に敬意を表しつつ、ヒップホップやR&Bも血肉としてきた者らしいエッジのあるブラス・ファンクを披露。歌にも熱がこもる。

 

LIL WAYNE Tha Carter V Young Money/Republic(2018)

ドレイクの出世に貢献したヤング・マネーの大将が7年ぶりのアルバムで帰ってきたのも、バードマンとの確執が原因だとはいえ、地元シーンの活況ぶりに刺激されたからだと思いたい。ゲストの豪華さはNOLAを越えて活躍する彼ならではだが、マニー・フレッシュとの手合わせも含むサウス・マナーに曇りはない。

 

LYSA Queen With A Woman's Touch MoHitz(2016)

カトリーナ被災者を勇気づけたレジットのロイ・アンソニーを中心とするモーヒッツ軍団の地元人気も忘れがたい。一派の歌姫がサザン・ウーマン然とした懐の深さとディープな美声を発揮する濃厚なチョコレート・ソウルはルイジアナの風土や気質を正面から反映。ザディコ味のあるNOLAバウンス“Grip It”も快作だ。

 

THE HOT 8 BRASS BAND On The Spot Tru Thoughts/BEAT(2017)

数ある地元ブラスバンドの中で、この15年近くもっとも精力的なのがトゥルー・ソーツに籍を置く彼らだ。今年EPも出したが、この最新フル・アルバムでもセカンドラインの様式に則りながらヒップホップ的な路上感を醸しつつR&Bカヴァーなどを披露。NOLAと縁深いメイズの(別)曲もふたたび取り上げている。