精密機械のように正確なドラミングで、現代ジャズ・シーンにおいてもひときわ異彩を放つドラマー、マーク・ジュリアナ。デヴィッド・ボウイの遺作『★』(2016年)への参加でも話題を集めた彼が、〈マーク・ジュリアナズ・ビート・ミュージック〉名義で7月24日(水)にBillboard Live TOKYOで、7月25日(木)にBillboard Live OSAKAで来日公演を行う。
しかもこの公演には、ア・トライブ・コールド・クエストやJ・コールらの作品に貢献し、米国の音楽シーンで大きな存在感を放っている日本人キーボーディスト、BIGYUKIが参加。2人の凄腕プレイヤーが火花を散らす、たいへん刺激的なパフォーマンスとなるだろう。
ここでは、両者のバイオグラフィーを簡潔に振り返る。
マーク・ジュリアナは、米ニュージャージー出身で80年生まれ。アヴィシャイ・コーエンやダニー・マッキャスリンの作品での演奏で、徐々にその名を広めつつ、ブラッド・メルドーとのエレクトロニック・デュオ、メリアナで大きな衝撃をシーンへと与えた。
ジュリアナの演奏の特徴は、ときに〈冷血的〉〈無感情〉とも称される正確無比でミニマルなドラミング。なかでも、今回来日する名義、ビート・ミュージックは、その名が表すようにマシーン・ビートへの関心を注ぎ込んだプロジェクトであり、トラックメイカーによるビート集をドラマーが生で模したかのような音源を発表してきた。
本名義での最新作は、4月に日本先行リリースされた新作『BEAT MUSIC! BEAT MUSIC! BEAT MUSIC!』。実に威勢のいいタイトルの同作では、これまで即興を重視していたレコーディング・スタイルを一転、ジュリアナが曲を書き、各プレイヤーはそれに従って演奏するやり方をとったそうだ。その結果、これまで以上に複雑な構成のもと、丹念にアンサンブルが作り込まれている。かねてからエイフェックス・ツインやスクエアプッシャーへの愛情を公言してきたジュリアナだが、このアルバムは、彼らエレクトロニック・ミュージックの鬼才による名盤にひけをとらない、先鋭的なビート・ミュージック作品と言えるだろう。
そしてBIGYUKIは、6歳からピアノを始め、その後アメリカの名門音楽大学、バークリー音楽院へ入学。タリブ・クウェリとビラルのバンドへに加入したことで、NYのブラック・ミュージック・シーンの中心に飛び込んでいった。その過程において、ロバート・グラスパーとも共演。ジャズ・ミュージシャンとの親交も深まっていく。
以降はジャズ、ヒップホップ双方のカルチャーで精力的に活動していったが、ここ日本で彼の名にスポットライトが当たったのは、やはりア・トライブ・コールド・クエストの2016年作『We Got It From Here… Thank You 4 Your Service』への参加だろう。この作品が全米アルバム・チャート1位を獲得し、オノ・ヨーコ&ジョン・レノン『Double Fantasy』(80年)以来、なんと36年ぶりの全米1位作品に参加した日本人となった。また、本人名義では2017年に初のフル・アルバム『Reaching For Chiron』を発表している。
マーク・ジュリアナの作品でも度々腕を揮っており、マーク・ジュリアナ名義のファースト・アルバム『My Life Starts Now』(2014年)、前述の『BEAT MUSIC! BEAT MUSIC! BEAT MUSIC!』で演奏。後者ではスペーシーな趣の音色で、作品の世界観を強固にしている。
今回の来日では、そんな気鋭の2人による強烈なセッションを目撃できるはずだ。加えて、キーボードにニコラス・セムラッド、ベースにジュリアナとは気心の知れたクリス・モリッシーが参加。隙のないクァルテットで表現する、マーク・ジュリアナの世界・最新版。Billboard Liveでぜひ体験してほしい。
LIVE INFORMATION
マーク・ジュリアナズ・ビート・ミュージック
2019年7月24日(水)Billboard Live TOKYO
1stステージ 開場17:30/開演18:30
2ndステージ 開場20:30/開演21:30
サービスエリア 8,000円/カジュアルエリア 7,000円(1ドリンク付き)
★詳細はこちら
2019年7月25日(木)Billboard Live OSAKA
1stステージ 開場17:30/開演18:30
2ndステージ 開場20:30/開演21:30
サービスエリア 7,500円/カジュアルエリア 6,500円(1ドリンク付き)
★詳細はこちら
■メンバー
マーク・ジュリアナ(ドラムス/エレクトロニクス)
BIGYUKI(キーボード/シンセサイザー)
ニコラス・セムラッド(キーボード/シンセサイザー)
クリス・モリッシー(エレクトリック・ベース)