Mikiki編集部のスタッフ4名が〈トキめいた邦楽ソング〉をレコメンドする週刊連載、〈Mikikiの歌謡日!〉。更新は毎週火曜(歌謡)日、数無制限でNEWな楽曲を軸に、たまに私的マイブームも紹介していくので、毎週チェックしてもらえると思いがけない出会いがあるかもしれません◎ *Mikiki編集部

★〈Mikikiの歌謡日!〉記事一覧

 


【酒井優考】

雀が原中学卓球部 “灼熱スイッチ”

今週は出順的にもトップだし、いろいろ紹介したい曲もあったのですが……今度Mikiki Pitに出演する侍文化に、バンドを形成する10曲を尋ねたら返ってきた9曲のうちのこの1曲にすっかりハマってしまって、他の曲が聴けなくなりました。侍文化からのコメントには「サビど頭の〈イキスギコード〉は衝撃でした」とありましたが、本当にサビど頭のコードなんだコレ!!!って衝撃すぎて。この曲を解説してる配信者のゆゆうたさんの動画もおもしろくって、彼が反応する箇所と同じところで同じような反応をしている自分に驚いたんですが(コード進行に怖いとかあるかよ/ありました笑)、音楽理論に詳しくなくても〈ここのコード切ない感じする〉とか〈この進行変わってておもしろい〉とか、作曲者がこらした工夫をいろんな人がちょっとでも分かる世の中だといいなと思いました。実際にゆゆうたさんの他の動画のコメントでも、コードに対して〈なんか分かってきた気がする〉とかあったし。侍文化が送ってくれたニコニコ大百科のコード解説のページも本当によく出来てて、〈イキスギコード〉って名前はアレだけど(笑)音楽への理解が深まって本当ステキだなと思います。……などという御託はどうでもよくて、サビど頭のコードなんだコレ!!! 田中秀和さんスゴすぎ!

 

【天野龍太郎】

石野卓球 “Turkish Smile”

9分51秒もある! 石野卓球、5週連続新曲リリースの第1弾。オルガンの短いリフが延々と繰り返されるドラッギーなこの感じ……最高です。どこかガーション・キングスレイのシンセ・ポップ・クラシック“Popcorn”みたいなユーモアも。カヴァー・アートは『ACID TEKNO DISKO BEATz』(2017年)からの連続性を感じさせる、毒々しい石野ディレクション&杉本陽次郎デザイン。

 

ずっと真夜中でいいのに。“マイノリティ脈略”

ちょっと前に〈ジェネレーションZ(90年代後半~2010年の間に生まれた世代)は音楽ジャンルを殺した〉というi-Dの記事がバズっていました。記事にあるビリー・アイリッシュやリル・ナズ・Xを引き合いに出すまでもなく、日本ではとっくに同様の事態になっていると言えましょう。

そんなことが頭の片隅に引っ掛かっていたとき、Spotifyの〈New Music Wednesday〉で聴いて〈これは!〉と思ったのが、ずっと真夜中でいいのに。の“マイノリティ脈略”でした。ものすごいハイブリッド感。おそらくACAねもZ世代なんじゃないかと。ラップもエレクトロニックもJ-Pop/J-Rockも、あらゆる音楽的ヴォキャブラリーが巧みにコラージュされたプロダクションには舌を巻きます。すごいぞ。6月12日にリリースされたミニ・アルバム『今は今で誓いは笑みで』より。

 

三浦大知 “Corner”

もう一つの新曲“片隅”のゆったりとしたテンポ、グルーヴにも抗いがたい魅力がありますが、僕はどうしてもこちらのパワフルなガラージ“Corner”に惹かれます。三浦大知のしなやかで伸びやかな歌声はもちろんのこと、EDM的な華美さを排したエレガントな電子音によるプロダクションが素晴らしいです。初期ディスクロージャーっぽくて最高!

そんなわけで、今週はなんだかJ-Pop週になりました。

 

【田中亮太】

Half Mile Beach Club “Blue Moon”

明日6月19日(水)リリースのファースト・アルバム『Be Built, Then Lost』より。HMBCの地元・逗子に根付いた活動とその魅力についてはEP時のインタヴューにわかりやすく(?)まとまっています。パーカッシヴなリズムと気怠いヴォーカルは完全マッドチェスター・ヴァイブス、なんですが不思議とワナビー感がないのは、彼らの見てきた景色を嘘なくサウンドで表しているからなんでしょう。あいかわらず、宮野真冬くんのギターが素晴らしい。レスポールである必要性を持った、いま数少ないタイプのギタリストだと思います。なお、アルバムについてのインタヴュー記事も進行中ですので、お楽しみに。

 

Changsie 『DISCWOMAN 70 x Changsie』

NYを拠点に女性やLGBTへの支援を行うコレクティヴ、DISCWOMANのDJミックス・シリーズに、千葉・銚子出身で都内を中心に活動するChangsieさんが登場。硬質なテクノやレフトフィールドなベース・ミュージックを中心に、グイグイ踊らせにくる感じが堪りません。クールでマッチョさ皆無のカッコよさ。先日、彼女の主催パーティー〈Joyride〉に遊びに行ったんですが、新宿OPENのサウンドシステム含めて最高でした!

 

notbicycle “ハミングバード”

Mikikiの創立メンバーであった元編集部員、船越さんが先日教えてくれたエモ・バンド。徐々にエモーションの熱を高めていく1曲目の“ハミングバード”から引き込まれました。が、あんまり情報がないんですよね……。はたしてライヴなどやっているのか。誰か、情報教えてください。

 

Isayahh Wuddha “elephant wave”

台湾と日本にルーツを持つシンガー・ソングライター、イサヤー・ウッダさん。プロフィールによると〈第二次世界大戦中、日本統治下の台湾にて徴兵され、衛生兵として日本へ従軍した台湾人の祖父と日本人の祖母をルーツに持つ。その二人の息子である父のレコードコレクションからJAZZのチェット・ベイカーやアルバート・アイラー、セロニアス・モンクを知り、母からは、山下達郎やURC周辺、加藤登紀子などを聞かされる。京都在住〉だそうです。気になる……。そして、その結果生みだされたのが、超ローファイなミュータント・ファンク。いびつだけどチャーミングなんですよね。7月にはファースト・アルバムのリリースも予定されているそうで、むしょうに気になる……。情報求む、デス。

 

【高見香那】

Maica_n “秘密”

先日に初インタヴューも掲載した18歳の新人SSW。自社リリースものとか関係ナシにかなりビビッとキています。このアルバム表題曲は、インタヴューでも言及されているようにそこはかとない色気を感じさせるミドル・ナンバー。この一曲を聴くだけでもいい曲が書けて/いい歌が歌えるお人なんだと実感できると思います(気に入ったらこちらもゼヒ)。ストリーミング解禁されていないので、ぜひお近くのタワーレコードで(笑)買って聴いてみてほしいです~。

 

valknee + ANTIC “人生最高のSSS”

ジワジワ話題になっている〈闇落ちOLラッパー〉、valkneeさん。4月末に出ていた、サイプレス上野とロベルト吉野なども手掛けるトラックメイカー・ANTICとのEP『FIRE BAE』、遅ればせながら最近よく聴いています。“悪夢”という曲がめちゃくちゃに名曲なので迷ったのですが、〈人生最高のSSS セックス・サタデー・新譜漁る〉がやっぱりスゴいので、こちらをご紹介。