谷川俊太郎さんの『普通の人々』は長編4作品を含む21詩が収録されている新作の詩集。ひとりひとりの何気ない日常の生活が、谷川さんの温もりのある言葉とヤマグチカヨさんの挿絵で描かれている。「姓名」、「本棚」、「人生」…題名を読んだだけでも心が温かくなる。その詩の中でも最初を飾っている「普通の人々」は、まるで「生きる」を連想させられる名作。本書のあとがきには“場面の前後に存在するであろう物語は、読者の想像力に任せたいと思ってる。”という谷川さんの言葉が記載されているが、この言葉通り、私たちは一詩、一詩読みながら、各々の世界をつくりながら、歩むこととなる。