ブギ連の愉しさからの流れで、さらに聴いてみたくなるオリジナルのブルースをちょっと盛り合わせ

独自のリズム感覚を持ち込んで〈ブギ・スタイル〉なるものを確立。ギター弾きとしてはもちろん、ムーディーでありながら時に荒々しく吠える歌唱も魅力で、名の由来となった“Boogie Chillen'”(48年)の作者ということもあって、ブギ連の雰囲気にもっとも近いところかも。

〈ミスター・ルイジアナ・ブルース〉ことスリム・ハーポがもっとも得意とするのはハープだが、そのくつろいだヴォーカルもとても個性的。代表曲“I'm A King Bee”(57年)やブギ・ナンバーの“Shake Your Hips”(65年)は数多くのカヴァーを生み、ロック・ミュージシャンへも大きな影響を及ぼした。

スライド・ギターの名手として名高い、“ブルースがなぜ”の詞に出てくる〈エルモア〉とはエルモア・ジェイムズのこと。これは同じシカゴのジョン・ブリムとのカップリング盤で、エルモア“Dust My Broom”(51年)、後にヴァン・ヘイレンも取り上げたジョン“Ice Cream Man”(69年)と、各々の代表曲入り。

MUDDY WATERS Muddy Waters Sings Big Bill Chess(1960)
ローリング・ストーンズを聴いてブルースを知ったらまずここを通る。なんたって“Rollin' Stone”(50年)って曲があるわけだから。40年代から活動してきたマディが最初に作り下ろしたこのアルバムは、シカゴ・ブルースの父とされるアコースティック・ギター弾き、ビッグ・ビル・ブルーンジーのカヴァー盤。

マイクを通してアンプリファイドさせるなど独創的な奏法を生み出していった、ブルース・ハーピストといえばこの人、本文にも登場するリトル・ウォルター。セッション・ミュージシャンとしてチェスから送り出した楽曲の多くでその存在感あるプレイを聴かせるが、シンガーとしての魅力もなかなかのもの。

35年に及ぶキャリアの中で残したアルバムは100枚超え。多作にして時代への順応性も高かったテキサスのブルースマン、ライトニン・ホプキンスは、サングラス姿でタバコを咥えた不良オジサンくさいルックスもイカしてる。ブギ連と併せて聴くなら、本作をはじめとするフォーク・ブルース期を選びたい。