今年のフジロック・ベストアクトの声多く、 〈時代の寵児〉とはまさに彼らのようなバンドのこと!
「時代の寵児」とはまさに彼らのようなバンドのことを指すのだろう。ヒューストン出身のインスト・トリオ、クルアンビン。今年3月の初来日公演に続き、フジロック・フェスでも熱演を披露。今年のベストアクトという声も多かったと聞く。
クルアンビンの音楽世界の背景には、多種多様な音楽要素が横たわっている。メンバーのルーツであるヒップホップやファンク~ソウル、東南アジアや中東のサイケデリック・ミュージック、チカーノ・ラップ、映画音楽やレゲエ/ダブ。クセの強いそうした世界観をシンプルなトリオ編成で表現するところに彼らの魅力はある。
先頃リリースされた日本編集盤 『全てが君に微笑む』は、そんなクルアンビンの世界を存分に楽しむことができる作品だ。注目はYMOがカヴァーしたことでも知られるマーティン・デニー“Firecracker”のクルアンビン流リメイク。同曲をブレイクビーツ・クラシックとして捉えたこの曲では、彼ら最大の武器でもある強烈なグルーヴを搭載。また、セルジュ・ゲンズブール“La Javanaise”のカヴァーやクルアンビンにとって最初期の楽曲にあたる“A Calf Born In Winter”なども収録。メロウなチルアウト感覚とほのかなエキゾチック・ムード、ブレイクビーツ的なリズム・アプローチなど、いずれの楽曲にもクルアンビンならではの魅力が凝縮されている。
なお、1作目『The Universe Smiles Upon You』と2作目『Con Todo El Mundo』もボーナストラック付きで日本盤化。さらには後者のダブ・アルバム『Hasta El Cielo(Con Todo El Mundo In Dub)』までリリースされた。今後さらなる飛躍を遂げるであろうクルアンビンの〈これまで〉と〈これから〉を刻み込んだ4作品。夏の終わりにじっくり楽しんでいただきたい。