タブラ奏者ザキール・フセインによる“インド古典におけるジャズからの影響を探求するプロジェクト”を発端に結成されたトリオの初作。超絶ベーシストにして拍子の魔術師デイヴ・ホランドと、その強靭なグルーヴを伝授された今最も模倣されるサックス奏者クリス・ポッターによる音の曼陀羅は即興音楽の中でも最先端を走る者にしか描けない神秘と言えるもの。その中でも聴き所はザキールの神の手。倍音豊かな低音がベースをふくよかに包み音色を際立たせ、高音は合いの手のようにサックスを盛りたて共にメロディを担うかのように歌いスウィングまでする。そんなタブラの底無しの可能性にも圧倒されるのが本作だ。