日本のアニメをこよなく愛するヨーロッパ・ジャズ・ピアニストのオール・ジブリ・カヴァー集
イタリア出身で、現在はパリを拠点に活躍するジョバンニ・ミラバッシは、日本で最も人気の高いヨーロッパ・ジャズのピアニストだ。クラシック・ピアノをアルド・チッコリーニに習い、美しいタッチと正確なテクニック、そしてさわやかな抒情を持ち味とするミラバッシのプレイには、アメリカン・ジャズとは明らかに異なるヨーロッパの香りが漂う。そしてミラバッシは、日本アニメの熱烈なファンとしても知られている。少年時代に日本のアニメに出会い、特にスタジオ・ジブリの作品をこよなく愛するミラバッシは、2015年にジブリ作品を中心としたアニメソングのカヴァー集『アニメッシ~天空の城ラピュタほか』をリリースしている。
12月18日に発売される新作『MITAKA CALLING−三鷹の呼聲』は、全曲をジブリ作品のカヴァーで固めたピアノ・トリオ作品。『千と千尋の神隠し』からの《あの夏へ》、『もののけ姫』からは《アシタカせっ記》、『魔女の宅急便』の《海の見える街》、『風の谷のナウシカ』からは《王蟲との交流》そして、《崖の上のポニョ》《となりのトトロ》など、おなじみの曲たちがミラバッシ~ジャンルカ・レンツィ(ベース)~ルクミル・ペレス(ドラムス)のトリオによって、見事なジャズ、それもエレガントなヨーロッパ・ジャズとして演奏されている。彼らの解釈と演奏の見事さもさることながら、改めて痛感したのは、どんな形態で演奏されても美しさと叙情性を失わない久石譲の楽曲の力だ。ジャケットには宮崎駿監督が提供したイラストが使われ、ジャズ・ファンである宮崎監督の 「ミラバッシさんのピアノが好きです。自由と情熱、彼そのものです。」というコメントが寄せられた。CDには折り込みポスターも封入されていて、ジャズ・ファンだけでなく、アニメ・ファン、ジブリ・ファンにも嬉しい作品になっている。