《LOVE/SEX/DEATH/MONEY/LIFE》2018、《pH》2018
「ダムタイプ|アクション+リフレクション」展示風景 2019年 東京都現代美術館
Photo by Nobutada Omote

DUMB TYPE
ACTIONS+REFLECTIONS

突出したメディアアーティストグループとして時代を先駆けてきたダムタイプの、結成から現在にまで至る35年間の活動を詳らかにし、そして来るべき次代をも照らし出す展覧会〈アクション+リフレクション〉が開催される。先端的なテクノロジーを駆使して同時代的な社会状況を批評的に反映させてきた彼らの試みは、ポスト・ヒューマニスティックな表現でありながらも極めて人間的な営みに根差してもいる。その内実を、ダムタイプ創設メンバーの高谷史郎とキュレーターの長谷川祐子が解き明かす。

長谷川祐子「昨年フランスのポンピドゥー・センター・メッス分館でインスタレーションを中心に新作を加えた展覧会をやっていただきましたが、その後に東京でダムタイプ展をやるにあたって、どのようにしたいという考えがあったのでしょうか」

高谷史郎「ダムタイプは1984年から活動を開始したのですが、『Pleasure Life』(1988)以前の活動は関西でしかやっていなかったということもあってあまり知られてないんです。けれどもポンピドゥー・センター・メッス分館での個展を契機に、そういった初期ダムタイプであるとか、その後の『pH』(1990-1995)や『S/N』(1992-1996)までの間をもう一度振り返ってまとめてみて、その上でどういう展示ができるのか、どういうものを年表に取り上げるべきなのか、そういうところから始まったのが今回の東京での展覧会です」

長谷川「今回の展覧会ではデータブックという大きい本があって、そこに今までのやりとりやみなさんが出された提案書とか、あるいはいろんな図面や計画とかが全部出ているじゃないですか。つまりカンバセーションも含めてプロダクションのすべてのプロセスが克明に記録されている。それを整理整頓していく中で、ダムタイプとはいったいなんだったのか、ダムタイプ的なものとはなんなのかが見えてきたと思うんです」

高谷「そうですね。それとアクチュアルな側面、今のダムタイプがどういう状態でどういう作品をプレゼントするのかということも考えました。古館健くんとか原摩利彦くんとか、そういう新しいメンバーと一緒に作業をする中で、何か全く違う新しいインスタレーションが出てきつつあるなと思っています。それはすごくいい機会だったと思います。展覧会を作ること自体がこの後自分の作品を作る時にも一つの大きな節目になったなという気がします」

長谷川「ここ5年ぐらいコレクティヴがすごく流行っていて、いろいろな美術雑誌でも特集していますよね。コレクティヴっていうのは、一人の突出した個性が何かを表現するのではなくて、いろんな人たちの考え方とか視点を、社会的な問題とか美意識も含めてリフレクションしながら一つの形にまとめ上げていくっていう意味ですよね。私はダムタイプは80年代にそれをものすごく早い形でやった人たちだと思っているんです。

高谷「今回の展覧会でも展示しているデータブックには、ミーティングのやりとりの記録がたくさん含まれています。アイデアを一つの企画書にして、グループ内でプレゼンし合って、その中からこれは面白い/面白くないっていうのを議論している過程がその本の中に入っている。そのやりとりの中でいかに自分のアイデアが面白いかっていうことをグループ内でプレゼンしているんです。それはある種の信頼関係があって、その上で自分のアイデアを通したいという欲望があって、それらが全部混ざり合ったミーティングです。そういうすごく密なやりとりの中で出てきたっていうのかな。才能とかそういうのじゃない。どちらかというとよくできた会社みたいな感じだと思っています。映画でもなんでもそうだと思うんですよ。いい作品ができる時って信頼関係があって、すごく密なやりとりをすることによって一つの作品ができていく。ポロッといいものが出てくるわけじゃなくて」

長谷川「私は今回一番言いたいことはコレクティヴにおける信頼ということだと思うんです。でも今の世の中に一番欠けているのはそれで。結局ネットの世界でもなんでも、実体のないところから言葉が出てきて、誰を信じていいのかわからない。信じる根拠がない。だから今、信頼っていう言葉が一番重要で。すごくベタな言葉ではあるんですけど。水戸芸術館で開催した《アナザーワールド・異世界への旅》(1992-1993)で仕事させていただいた時に、敵対関係は信頼関係がベースにあるということをメンバーの方に言われて。自分が相手のことをちゃんと批判したりできることのベースには信頼があると」