2018年に行われたライヴ・シリーズ 〈TWO〉から、シドニー・オペラハウスでのパフォーマンスを収めた本作は、アルヴァ・ノトの緻密な電子音響と、坂本龍一の多彩なタッチで紡がれるピアノが静かに混じり合い、2002年から現在に至るまでに発表されたコラボ楽曲を演奏。音数が絞られている影響か、両者の緊密なやりとりを間近に感じ取ることができるが、終始、空気が張り詰めた近寄りがたい厳かな雰囲気も。とはいえ、心臓の鼓動ように身体の芯に響くリズムと繊細なピアノの旋律がゆったりと流れる 《Berlin》や、壮麗な《The Revenant Theme》を始め、派手な演出なしに感情へ訴えかけてくる2人のプレイは円熟の極みだ。