クロちゃん解任後の初インタヴューを敢行! 話題の5人組はここからどこへ向かう?

 TBSの人気番組「水曜日のダウンタウン」内の企画〈MONSTER IDOL〉から誕生し、賛否の入り乱れる反響を呼んで昨年の暮れを席巻したのが豆柴の大群です。そもそも〈MONSTER IDOL〉とはクロちゃん(安田大サーカス)を主役にした同番組内の企画〈MONSTER HOUSE〉の続編として、いわゆる恋愛リアリティショー的な要素とアイドル・オーディションの体裁を掛け合わせた企画。アイドル通でもあるクロちゃんがプロデューサーとなってアイドル・グループを作るという、この挑戦的な試みをバックアップしたのがWACKでした。彼らが毎年行う合宿オーディションの作法も活かし、11~12月にかけての連続オンエアにはWACK代表の渡辺淳之介はもちろん、松隈ケンタ(サウンド・プロデュース)、外林健太(衣装/撮影)、BiSHのアイナ・ジ・エンド(振付け)といったブレーンたちも出演。クロちゃんが理想のメンバー(と恋人候補)を真剣に選ぶというリアルも内包しつつ、恋愛リアリティ番組とアイドル・ドキュメンタリーの暴走気味な混在ぶりをお茶の間に届けることに成功しました(WACKファンには合宿のパロディーとしても楽しめたかもしれません)。

豆柴の大群 りスタート T-Palette(2019)

 最終的にはクロちゃんのお眼鏡に適ったアイカ、ミユキ、ハナエ、ナオの4名でグループが誕生。クロちゃん作詞/作曲のタワレコ限定シングル“りスタート”でデビューを飾るも、〈水ダウ〉らしい仕掛けでシングルは〈続行〉〈解任〉〈解任+罰ゲーム〉の3形態が用意され、売上枚数によってクロちゃんの去就を決めるという企画へと発展します。1週間後のセールス集計を受けてクロちゃんはプロデューサー解任+罰ゲームという憂き目に。そこでクロちゃんの私情から脱落したカエデも加え、所属事務所のWACKがプロデュース面も引き取る格好でハッピーエンド(?)を迎えたのでした。

 その過程でMVが大きくバズり(公開から半月ほどでYouTubeでは1000万再生を突破!)、シングルもオリコン週間1位に輝くという絶大なマス・アピールを獲得した豆柴の大群ですが、元旦のイメージチェンジはまたも賛否両論……。そのように一挙手一投足が注目されるなか、当人たちは何を思うのか。5人組では初取材だという彼女たちに話を訊きました。

 

WACKのアイドルになりたくて

——そもそもの前提として、企画の性質上オープンなオーディションがあったのではなく、皆さんは過去のWACKオーディション志望者ということですよね。

ミユキエンジェル「はい。私は前からBiSHさんが好きで、WACKもそれで知ってたんですよ。で、その頃は女優になりたくて、そういうオーディションばっかり受けてて、でも1年ぐらい前からアイドルを仕事にしたいって思うようになって。それで受けたCARRY LOOSEさんのオーディションは面接で落ちたんですけど、そのご縁から〈TVのオーディションがあるから受けてみない?〉って声をかけてもらえたので、〈人生賭けて受けよう〉と思って参加しました」

アイカ・ザ・スパイ「あの、昔からアイドルはやりたかったんですけど、普通に公立の高校に通ってたので、オーディションとかは受けたことがなくて。けど、夢でひいおばあちゃんに〈アイドルになりなさい〉って言われたんですよ。それをWACKが好きな友達に話したらオーディションをいろいろ調べてくれて、ちょうどCARRY LOOSEさんのオーディションをやってて、それで応募したのがきっかけでした」

——ナオさんは去年3月の〈WACK合同オーディション2019〉にも参加してましたね。

ナオ・オブ・ナオ「そうです。その時は就職も決まってて4月から働くっていう状態だったので、3月末の合宿にはイチかバチかみたいな感じで参加して、まあ、結果は残せなくって……そのまま次の日に仕事に行くっていう感じで」

——以前にも地元でアイドル活動をされてましたけど、WACKのオーディションを受けたのは去年のが最初ですか?

ナオ「はい。BiSHさんが凄い好きで、その前の年の壱岐のオーディションも観てました。もともと地元のグループでカエデとも一緒に活動してたんですけど、そこを辞めた後に何をしたいかわからなくなって、もう医療事務の専門学校に通ってたんですね。それで就活して内定もらったはいいんですけど、心のどこかで〈自分が進みたいのはこっちじゃない気がする!〉みたいな感じがあって、で、WACKの音楽が凄い好きで、いろいろ聴いてて……(涙ぐむ)」

ミユキ「泣かないで」

ナオ「その時期が辛すぎて。親には合宿に参加するのを凄い反対されたんですよね。でも、〈やっぱりWACKのアイドルになりたいな〉って思ったので、反対を押し切って、勝手に飛行機を予約して行きました。落ちましたけど(笑)」

——それで就職して。

ナオ「その後はもう仕事に専念しようって思って、病院で働いてたんですけど。やっぱ諦められないなって思った時にCARRY LOOSEさんのオーディションがあって、もう働きはじめてるし〈これでもう最後〉と思って受けて、東京での面接も有休を使って参加して(笑)。それも落ちたんですけど、〈TVのオーディションがあるんだけど〉って声をかけていただいて、その沖縄の合宿も有休を全部使って参加しました」

——有休がけっこうあったんですね(笑)。

ナオ「無理を言って1週間まとめて取らせてもらいました(笑)」

——良かったです。カエデさんは?

カエデ「はい。私は王道のアイドルに憧れてたので、ずっとそういうオーディションを受けてたんですけど、2017年の〈TIF〉でBiSHさんが会場全体を巻き込んで熱を作ってるのを観て〈こんなかっこいいアイドルがいるんだ〉と知って、そこからWACKを好きになりました。で、私も去年の合宿オーディションに応募してたんですけど、面接で落ちちゃって。その後でまたCARRY LOOSEさんの募集を知って応募しました」

——はい。そして育成ユニットのWAggから参加されたのがハナエさんです。

ハナエモンスター「はい。最初はどのTV局のどんな企画かも言われてなくて、ただ〈TVのオーディションがあるけど受けてみる?〉っていう連絡だけきて。で、私もTBSのディレクターさんと渡辺さんの前で面接はしました」

——オンエアの前段階で、普通の一次面接みたいなものをされてたんですね。

ナオ「全員ありました」

ハナエ「最初は『ラストアイドル』的な番組だって言われてて……けっこう違いましたね(笑)」

——でも、WACK経由で集められて、いきなりクロちゃんさんが入ってきて、「水曜日のダウンタウン」の企画だって知らされたらビックリですよね。

ハナエ「ホント、『ラストアイドル』って言われてた印象が強すぎて、もう、そういう番組なんだと思ってたんで。〈あっ、ヴァラエティー番組なんだ?〉って」

ナオ「〈え、クロちゃんがメンバーを選ぶんだ?〉っていうところから、もう驚きしかなかったです。ずっと心がついていけなくて、沖縄の合宿の間もずっと」

——皆さんは普通にレッスンや審査を受けてるけど、どういうノリで放送されるのかもわからないわけですからね。

ナオ「後から〈メンバー選びってホントにクロちゃんがしたんですか?〉って訊いたら、〈全部クロちゃんが決めてるよ〉って言われたんで、その時に〈ああ、そうだったんだ〉って。全然、もう何もわからなかったです」

——クロちゃんの立ち回りも演者としてやってるのか本気なのか、よくわからないのがおもしろくて。

ハナエ「私たちもまったくわからなかったです。でも、後から聞いて〈これガチだったんだ〉ってところもありました。〈ナオの涙が見たかった〉はホントにガチだったらしい、ガチで。何か、家で録画を30回くらい観たって」

ナオ「〈うわっ!〉と思って(笑)」

——まあ、さっき簡単に涙は見れてしまいましたけどね(笑)。

ハナエ「ハハハハハ」

ナオ「何か涙もろいんですよ。なので、合宿中もけっこう泣いてたんですけど、クロちゃんは嘘泣きだと思ったらしくて」

——〈泣くのはもうわかったから〉ってやつですよね。

ナオ「そうです。〈え、何がですか?〉と思って、全部終わった後にLINEで〈あれは全部嘘じゃないです。何言ってるんですか?〉って送りました。〈嘘泣きじゃなかったしんか~〉〈ごめんね〉って謝られました(笑)」

ハナエ「アハハハハ、優しい」

——皆さんは実際のオンエアを観てから知ったことも多いんですよね。

ハナエ「ホントにオンエアまで3形態のCDが出るのも知らなくて。クロちゃんが今後ずっとプロデュースしていくっていうスタンスだったんで、最後のほうはもう覚悟を決めて〈クロちゃんのもとで一生やっていく!〉という気持ちになってました(笑)」

ナオ「そういう話もしたよね、みんなで」

ハナエ「うん。合宿の終わりぐらいから」