1. Demi Lovato “I Love Me”
Song Of The Week

天野「〈SOTW〉は、デミ・ロヴァートの“I Love Me”! 彼女は今年のグラミー賞でのパフォーマンスがめちゃくちゃ素晴らしかったですね」

田中「僕も号泣しちゃいましたよ。グラミーでの歌唱がなぜ感動的だったかを説明するために、まずは彼女のキャリアを振り返っておきましょう。ロヴァ―トは、もともとディズニー・チャンネルなどに出演していたティーン・アイドルの時代を経て歌手になったんですが、10代の頃にいじめを受けていた結果、摂食障害やうつ病を患い、ドラッグにも手を出すようになります。2010年にリハビリ施設に入ったものの、以降も彼女はアルコールと薬物への依存に悩まされ続けていました。そして、2018年にオピオイドの過剰摂取により自宅で意識不明になり、病院に緊急搬送。以降は治療とリハビリに努め、再起のパフォーマンスが件のグラミーの舞台だったわけです」

天野「この“I Love Me”は、グラミーで歌われた“Anyone”に続く復帰第2弾シングル。 “Anyone”は救いの手を求める心境を歌いあげた美しいバラードでしたが、今回の楽曲はパワフルなポップ・ナンバーですね。軽やかでキュートなパートと、エモくてアンセミックなパートが交互に繰り返されていく構成も最高です」

田中「過食や自傷行為に悩んでいた過去をリリックに差し込みつつ、重たくなりすぎないライトなタッチで描かれていることに、彼女の成長が窺えます。コーラスでは〈いつか自分を愛せるようになるのかな〉と繰り返したうえで、終盤では〈私は10点中の10点 そう思えないときだってね〉と断言するところがとてもエモーショナル。自信をなくしていたり、自分を愛せなくなっていたりする多くの人を勇気づけてくれる楽曲だと思います!」