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思い出深い曲

 その“プロローグ”で幕を開けるアルバムには、2018年秋の“remember”、昨年秋の“願い”といったシングル曲や、小林武史との初タッグとなった先行配信シングル“あなたがいることで”(TBS系日曜劇場『テセウスの船』主題歌)なども収録されているが、新曲群は本人の言葉通りで、“プロローグ”のヒットでより広まった〈Uruといえばミディアム・バラード〉というイメージに収まらない振り幅の曲調も聴けて楽しい。「好きな曲調で、すごく気に入ってる曲です」という“space in the space”は、Kan SanoのアレンジによるR&Bフィーリングの心地良いナンバーだったり、それに続く“marry”はフォーク・タッチの澄んだメロディーで……。

 「私がカヴァー動画をアップしていた頃、〈結婚式で使っていいですか?〉というような声をたくさんいただいていたんです。オリジナルには悲恋の曲が多いんですけど、そう言ってくださる方に応えるようなハッピーな曲もと思って、それでウェディング・ソングを作ってみたんです」。

 “Don't be afraid”は、ハンドクラップを交えたゴスペル風のアップテンポなナンバー。こちらのアレンジは、初の手合わせとなる渡辺シュンスケ(Schroeder-Headz、cafelon)。

 「ライヴで楽しめる曲だと思います。アルバム全体を見たときに、こういうアップテンポの曲も入れたいなと作詞作曲をしてくださるHidenoriさんに提案したら引き受けてくださって。イントロのガヤみたいな声はオケをいただいたときにすでに入っていて、そのあとさらに私の声を重ねたりしているんですけど、私の〈Yeah!〉っていう声をお聞かせするのは初めてかもしれないですね(笑)。すごく楽しく歌えました」。

 続く“頑な”は、TVドキュメンタリーにインスパイアされて作ったというエモーショナルなバラード・ナンバー。そして“いい女”は、ファースト・アルバム『モノクローム』に収録されていた“いい男”と対になっている曲で、アレンジャーも同じく宗本康兵が手掛けている。男性目線だった前者に対して、“いい女”は女性目線。ラスト・ナンバー“remember”に繋ぐ“横顔”は、デビュー曲“星の中の君”と世界観を通わせているバラードで、ここで歌われている〈あなた〉は、あのとき〈今君は綺麗だよ〉と言っている〈あなた〉……。曲順は戻るが、冒頭“プロローグ”に続く“今 逢いに行く”は、かなり前に作られていたという曲だ。

 「デビュー前、いまの事務所にいくつかデモを持っていって聴いてもらっていたんですが、最初に渡したのがこの曲でした。ライヴで一度だけ披露したことがあったんですが、アルバム収録曲を発表したときにそれを憶えててくださった方がいて。この曲を気に入ってもらえたことでいまの私があるので、思い出深い曲ですし、それを一度聴いただけで憶えていただけたっていうことはとても嬉しかったです」。