約10年前、とあるコンクールの本選会場で加々見茉耶さんの演奏に心底驚いた記憶は今も鮮明です。ずば抜けた反射神経、音楽の山と谷をくっきり描き出す力、響き全体の生きの良さ…結果はもちろん第1位でした。以来加々見さんのことはずっと気になっていましたがイモラ音楽院などで研鑽を積み、演奏活動も重ね、ついに待望のデビューアルバムです。チャイコフスキー「四季」からの4曲ではすっきりした流れの中にあでやかな色彩を煌めかせ、ラフマニノフやカプースチンにおいては持ち前の切れ味鋭い指捌きが冴え、聴き手をグイグイ引き込みます。もっともっと聴きたいピアニストです。